医師資格ないのに縫合 千葉市立病院の手術で
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千葉市立海浜病院(千葉市美浜区)で2021年7月、全身麻酔により行われた手術の際、医師資格を持たない臨床工学技士が執刀医の指示で患者の皮膚の縫合に関与していたことが29日分かった。健康に実害はないとして、警察への通報を見送っていた。病院側が記者会見で明らかにした。
病院によると、手術は心臓ペースメーカーの部品交換が目的で、技士は動作確認のため立ち会っていた。縫合は手術の終盤で技士が試みたのは1針分。何度か針を刺したがうまくいかず、最後は医師が縫ったという。
医師法は医師資格を持たない者の医療行為を禁じている。顧問弁護士らから「刑事罰の対象となる事案ではない」との見解が示され、謝罪した際、患者から「大ごとにしないでほしい」と言われたこともあり通報を見送ったという。
病院の聞き取りに執刀医は「技士も縫合してよいと勘違いしていた」と釈明したという。病院の吉岡茂院長は「技士の業務範囲を超えてしまったことを非常に重く受け止めている。申し訳ない」と述べた。
今年1月、市に匿名の情報提供があった。病院が外部有識者を交えた医療事故検討委員会を設置し、事実関係を確認。4月に執刀医と技士を訓告処分とした。〔共同〕