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タンチョウ、国内未確認の個体群繁殖か 北海道で

絶滅が危惧されている国の特別天然記念物タンチョウを巡り、これまで日本で生息が確認されていなかった中国やロシアで繁殖するユーラシア大陸個体群が北海道で繁殖しているとみられることが、関係者への取材で分かった。

専門家は「北海道に生息する個体群との間で繁殖が進めば、絶滅リスクの低減につながる」と歓迎している。

NPOタンチョウ保護研究グループ(釧路市)によると、タンチョウは中国やロシアで繁殖するユーラシア大陸個体群と、北海道にとどまり繁殖する北海道個体群がある。国内では野生の大陸個体群がすみ着き繁殖した例は確認されていない。

獣医学が専門の酪農学園大の寺岡宏樹教授(58)らが、北海道豊富町で2018年7月に見つかったタンチョウの羽根4枚の遺伝子を解析し、2枚は北海道個体群のメス、2枚は大陸個体群のオスと断定した。

羽根を発見したNPO法人サロベツ・エコ・ネットワーク(豊富町)の長谷部真事務局長(45)によると、羽根が見つかった巣の近くに個体の気配はなかったが、巣の中に未受精卵とみられる卵が1つあった。通常タンチョウは卵を2つ産むことなどから、寺岡教授は「繁殖が起こった可能性は高い」と指摘する。

国などによると、一時絶滅したと考えられたタンチョウは再発見後、国や自治体が繁殖を後押しし、個体数を増やしてきた。ただ少数の個体から数を回復させたため遺伝的な多様性に乏しく、感染症への抵抗力が弱いとされる。冬季に給餌場に高密度で集まるため絶滅が懸念されてきた。

同研究グループの百瀬邦和理事長(70)は「意外な発見で驚いた。大陸での分布が広がり、海を渡る個体が出たのかもしれない」と推測。環境省の担当者は「多様性が広がれば、病気や寄生虫への耐性が高まることも予想される」と話した。〔共同〕

タンチョウ 日本や中国、ロシアなどに生息する大型のツル。羽を広げると約240センチに及ぶ日本最大級の鳥。国内では主に北海道に生息する。明治期の乱獲や湿原の開発などで絶滅したと考えられたが、1920年代に釧路湿原で再発見され、52年に国の特別天然記念物に指定された。環境庁(現環境省)が84年から釧路市と鶴居村で給餌を行うなど、保護活動により個体数は回復した。生息域の集中による感染症のまん延を防ぐため、近年は段階的に給餌量を減らしている。〔共同〕

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