五輪汚職、JOC竹田氏が賄賂受領拒む 公判で検察指摘
東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=が、収賄罪に問われたコンサルタント会社元代表の松井譲二被告(75)に対し、賄賂とされる資金の一部を日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和元会長(75)に分配するよう指示していたことが28日、分かった。竹田氏は受け取らなかった。
東京地裁(安永健次裁判長)で同日開かれた松井被告の初公判で検察側が明らかにした。一連の事件で収賄側の公判は初めて。
松井被告は高橋元理事と共謀し、2018〜21年、広告大手ADKホールディングス(HD)と大会マスコットのぬいぐるみを販売した「サン・アロー」から計約2700万円を受領したとされ、起訴内容を認めた。
検察側冒頭陳述によると、竹田氏は15年1月に松井被告と会食した際、五輪関連の商取引に松井被告が代表を務めていた会社「アミューズ」(解散)の口座を使わせてほしいと頼んだ。竹田氏は、経営に関わっていた旅行会社の顧客から商取引の依頼を受けており、組織委への働きかけは高橋元理事に協力を求めたという。
高橋元理事は16年9月、松井被告に対し、五輪関連の案件で報酬を得ると伝えた。「俺がいろいろ取ってくるから期待していろよ」と話し、アミューズへ入金された資金は自身に渡ったとの記録が残らないよう「現金で出せるか」と持ちかけ、竹田氏も含めて3等分にするよう伝えていた。
松井被告はADKHDとサン・アローからの入金について、高橋元理事の指示を受け、19年5月ごろ、高橋元理事と竹田氏に約563万円ずつ渡そうとしたが、竹田氏は拒否。その理由について、被告人質問で「(竹田氏は)言わなかった」と説明した。松井被告の取り分は約551万円だった。
高橋元理事は2社側から請託(依頼)を受け、便宜を図ったとされる。
高橋元理事の初公判の日程は決まっていない。〔共同〕