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日大の田中前理事長に有罪判決、所得税法違反 東京地裁

(更新)

所得税法違反(脱税)の罪に問われた日本大学前理事長、田中英寿被告(75)の判決公判で、東京地裁(野原俊郎裁判長)は29日、「業者からの現金受領を隠蔽する目的で脱税に及んでおり、動機は身勝手で酌量すべき事情はない」として懲役1年、執行猶予3年、罰金1300万円(求刑懲役1年、罰金1600万円)の有罪判決を言い渡した。

田中前理事長は初公判で「反省している」などと起訴内容を認め、弁護側は執行猶予付き判決を求めていた。田中前理事長は判決後、弁護人を通じて「判決を厳粛に受け止めております」とコメントを出した。控訴しない方針という。

野原裁判長は判決理由で「日大の各種業務を受注している関係業者らから、取引で利益を得たことへの謝礼などの趣旨で多額の現金を受け取っていた」と田中前理事長のリベートの受領を認定した。

過去の税務調査で申告漏れを指摘され、現金を所得として申告する必要性を認識していたにもかかわらず、妻に指示して所得から除外して申告するなどしたと認定し「単純ではあるが大胆な手口だ」と非難した。

その上で「国内最大規模の教育機関である学校法人の理事長という立場での犯行で、適正な申告納税制度への社会的信頼に与えた影響を軽視できない」と述べた。一方、起訴内容を認めて修正申告したことなども考慮し執行猶予をつけた。

日大は判決を受け「公共性の高い学校法人の理事長として決して許すことのできない行為で、極めて遺憾。ガバナンス改革等を進め、信頼回復に向けて誠心誠意努力していく」とのコメントを発表した。

判決によると、田中前理事長は日大医学部付属板橋病院(東京・板橋)の建て替え工事などで業者選定を差配した元理事、井ノ口忠男被告(64)=背任罪で起訴=や大阪市の医療法人元理事長の籔本雅巳被告(61)=同=らから受け取ったリベートなど2018年と20年分の所得計約1億1800万円を隠し、約5200万円の所得税を免れた。

日大は事件を受け、前理事長の全ての役職を解任し「永久に決別する」と宣言。外部有識者の「再生会議」で理事らの選出方法が適切か検討するほか、第三者委員会で事件の背景について調査している。いずれも近く答申や報告書を公表するとしている。

日本私立学校振興・共済事業団は日大への21年度分の私学助成金を全額不交付とした。事業団の規定などにより、5年間で最大300億円超の減収となる可能性がある。

在学生、抜本的改善求める


日本大学は前理事長らの事件を受けてガバナンス(統治)改革に着手し、新体制下で立て直しを図る。在学生からは経営体質の抜本的な改善を求める声が上がる。
日大によると、2022年実施の一般選抜(一般入試)志願者数は前年より4178人少ない9万3770人だった。就職活動のため会社説明会を回り始めたばかりという経済学部3年の男子学生(22)は「大学のイメージ悪化による影響が心配」としつつ「事件と関係のない学生や教員が迷惑を被らないよう、健全な大学に生まれ変わってほしい」と願う。
日大への21年度分の私学助成金が全額不交付となることについて、法学部1年の男子学生(20)は「学費が上がるのでは」と不安だったが、大学側から値上げは実施されないと聞き「ひとまずホッとした」という。
事件の発覚直後は日大の学生と名乗ることに抵抗を感じていたが、「家族や友人から『気にしなくていい』と励まされ、今は前を向いている」と語った。

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