陸上の唐沢選手、"母親"役に「メダル掛けてあげたい」

陸上男子5000メートルで銀メダルを獲得した唐沢剣也選手。練習のサポートチームで〝母親〟役を務めるのが清野衣里子さん(64)だ。
清野さんが前橋市内で営む鍼灸(しんきゅう)院には陸上に取り組む地域の学生らが通い、職業体験にやってきた際に唐沢選手と知り合った。
鍼灸院のトレーニングルームを練習拠点として提供し、通院していた知人をガイドランナーとして紹介。マッサージや、はり治療で体のケアも欠かさない。
鍼灸院の近所で1人暮らしをする唐沢選手にとって、体づくりの基本は清野さんの手料理。朝と夜の練習を終えると、鍼灸院で食べ、昼の弁当も清野さんが作り置いたおかずを詰める。
「真面目で辛抱強いところはすごい」。周囲の応援に感謝して練習に打ち込み、タイムを縮めてきた。清野さんは家族のように向き合いながら隣で努力を見続け、レース直前には電話で「夢の舞台。とにかく楽しんで走って」と励ました。
「力は出しきった。清野さんにメダルを掛けてあげたい」と笑顔で感謝したランナー。弾むように刻んだピッチに「頑張ったね。たいしたもんだ」とねぎらいの言葉を贈った。〔共同〕