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「宗教虐待」4類型例示 厚労省が指針、児相に対応促す

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厚生労働省は27日、宗教を背景とした児童虐待への対応指針を初めてとりまとめ、全国の自治体へ通知した。心理的虐待など法律が定める4類型に沿って、信仰の強制や結婚の制限といった具体的なケースを例示した。宗教団体の信者を親に持つ「宗教2世」の被害を想定し、児童相談所による一時保護などの措置を促す狙いがある。

加藤勝信厚労相は同日の閣議後の記者会見で「宗教の信仰を含め、理由のいかんを問わずに児童虐待は許されるものではない」と強調した。

指針はQ&A形式。児童虐待防止法が定める①身体的虐待②心理的虐待③性的虐待④ネグレクト――の4つの類型で想定される事例を盛り込んだ。

身体的虐待では宗教活動中の態度を理由に手やムチでたたくことを挙げた。心理的虐待は「地獄に落ちる」と脅し宗教活動への参加を強制したり、友人らを「敵」「サタン」と呼んで恐怖心を与えたりするケースを盛り込んだ。

高額寄付により生活に困窮し適切な食事や住環境を提供しないことや、同じ宗教を信仰しない友人らとの交流制限は、ネグレクトに相当するとした。悪質な事案は暴行罪や傷害罪が成立する可能性があるとし、警察との連携も求めた。

指針の狙いは宗教2世への対応の改善だ。これまで児相は宗教を背景とする虐待への対応に消極的だったとされる。宗教を背景とした虐待は児童本人の被害認識が薄い場合もある。児相関係者は「宗教を巡る専門知識が必要で、対応は難しい」と明かす。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の2世信者らからは「児相や警察に相談しても、宗教を理由に対応しなかった」との声が上がっていた。同省は2世信者らのヒアリングを通じて指針を策定した。

ただ引き続き、児相や自治体の現場の対応が課題になる。指針では児童虐待にあたるか判断する際に指針を機械的に当てはめるのではなく、「総合的に判断する必要がある」とした。相談を受けた現場職員が緊急性を判別できるかが問われる。

こうした救済体制の強化を宗教2世の子どもへ周知することも重要だ。政府が開いた宗教に関する合同相談窓口に9~10月に寄せられた計3650件のうち、18歳未満からの相談はわずか0.1%だった。虐待の早期発見に結びつけるためには周囲のサポートが要る。

NPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」(東京)の高祖常子理事は「指針は虐待にあたる事例を具体的に明示しており、これまで信仰の自由を背景に子どもの保護などに踏み込みにくかった事案の対応の促進に期待できる」と評価する。

一方、近年の児童福祉法などの改正により体罰の禁止が法律で明記されたが、広く認知されていないと指摘。今回の指針について「広く救済を進めるためにも、児相だけでなく学校現場や家庭に浸透するよう周知する取り組みが求められる」と話す。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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