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「ステマ」法規制へ 消費者庁、広告主を行政処分

インターネット上などで広告と明らかにせず口コミや感想を装って宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制に消費者庁が乗り出す。同庁の有識者検討会が27日に規制強化を求める提言をとりまとめた。景品表示法の不当表示に追加し、違反した場合は広告主を行政処分の対象とする。

景表法は実際より著しく優良と誤認させる広告などを禁止する一方、広告であること自体を隠して中立性を装う表示を禁じる項目はなかった。消費者庁は2023年夏ごろをメドに、同法に基づく告示の不当表示に「事業者による商品・サービスの表示であることを消費者が判別するのが困難であるもの」を追加する。今後、運用基準をつくり、どのような表示がステマに該当するかを示す。

代表例は事業者が第三者を使って行わせる表示だ。電子商取引(EC)サイトの出店事業者が顧客に依頼や指示をしてレビューを書かせた場合などを想定する。自社製品の高評価を求めるだけでなく、他社の商品をおとしめる書き込みも対象となる。

事業者と投稿者などの間に依頼や指示がなくても、自主的な意思と客観的に認められない関係があるケースも含む。企業がSNS(交流サイト)で影響力のある「インフルエンサー」に金銭や物品、イベント招待など経済上の利益を提供し、目的に沿った書き込みがされた場合などだ。

これらの投稿は「広告」「プロモーション」などの文言で事業者の表示と同一である旨を明示する必要がある。一方、サンプル商品などをもらっていても自主的な意思に基づく投稿と判断されれば規制対象にはならない。

違反した場合、同庁が再発防止を求める措置命令を出し、広告を依頼した事業者名を公表する。従わなければ2年以下の懲役または300万円以下の罰金または併科とする。両罰規定で法人も最大3億円が科される可能性がある。投稿した側は処分しない。

消費者庁は一般利用者の情報提供などをもとに調査し、違反かどうかを判断する。

欧米では消費者の合理的な選択を妨げるとしてステマを規制しているが、日本は対応が遅れていた。

ステルスマーケティング 著名人などが広告主から金銭などの対価を受け取りながら、公平な口コミや専門家の意見など第三者のような体裁をとって商品などを宣伝する行為。敵のレーダーに察知されないステルス戦闘機のように、消費者から広告と気づかれにくいことから名付けられた。
2012年に飲食店のランキングサイト「食べログ」でやらせ業者による順位操作が明らかになった。業者が好意的な投稿をする見返りに店側から報酬を得ていた。22年初めには動画投稿アプリTikTok(ティックトック)の日本の運営会社がインフルエンサーに報酬を支払い、特定の動画を一般投稿のように紹介させていたとして謝罪した。
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