試験中に共通テスト問題流出か、画像を外部送信疑い

今月15日に実施された大学入学共通テストで、試験時間中に「世界史B」の問題が外部に流出した形跡があることが26日、関係者への取材で分かった。受験生が問題を撮影して外部に送信した可能性があり、文部科学省や大学入試センターも同様の情報を把握。不正の疑いがあるとみて警視庁に相談しており、同庁は偽計業務妨害容疑で捜査を始めた。
共通テストは15~16日の2日間の日程で行われ、世界史Bを含む「地理歴史、公民」は初日の午前9時半から午前11時40分に実施された。地歴公民は出願者の78.7%にあたる41万7259人が受験した。
関係者によると、東京都内の大学に通う大学生から文科省に対し、共通テストの問題とみられる画像を受け取り「試しに解いてほしいと言われ、試験時間中に解答を送った」旨の申告がメールであった。
大学生はSNS(交流サイト)で解答を送信したとみられ、「共通テストの試験問題とは知らなかった」と説明。大学生に依頼してきた人物とは家庭教師のアルバイトを募集するインターネットサイトを介して知り合ったという。

文科省や大学入試センターは送られた画像は本物の試験問題だった可能性が高く、受験生が試験中に外部に送信して解答を依頼する不正が行われたとみて調査。同センターが警視庁に被害届を提出した。
大学入試センターは受験生向けに配布している注意事項で、スマートフォンやウエアラブル端末などの電子機器は試験会場に入る前に電源を切るよう指示。試験中に着信や振動音が確認された場合には、本人の了解なしで試験監督がかばんごと会場の外に持ち出すと明記するなど、厳格な対応方針が示されていた。
警視庁は、どのような手段で試験問題が外部に送信されたかなどを調べる。
入試問題の漏洩が刑事事件に発展したケースは過去にも起きている。2011年には京都大などの入試問題がネットの質問サイトに投稿され、京都府警が携帯電話を会場で使って試験問題を投稿し、京大の業務を妨害したとして受験生の男子予備校生を偽計業務妨害容疑で逮捕した。
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