知床観光船事故 亡き孫と対面、親族ら悲しみ深く

北海道・知床半島沖のオホーツク海で観光船が遭難した事故で、悲報を受けた乗客らの親族や知人たちは深い悲しみに包まれている。安置された遺体と対面した親族らは涙を流し、知人らも「やるせない」と言葉を失った。
24日夜に発見された加藤七菜子ちゃん(3)は、祖父母が遺体安置所となっている斜里町内の施設で対面し、身元が確認された。町関係者によると、祖父母はひつぎに眠る姿を目にして名前を静かに呼びながら涙を流したという。
一緒に乗った両親は不明のままという。
七菜子ちゃんが暮らす東京都葛飾区で近所に住む女性は、父親が七菜子ちゃんとみられる女児を自転車に乗せて外出するのを見たことがあるという。「旅行にも楽しみにして出かけただろうに。やるせない」と悔やんだ。
ともに氏名が公表された香川県丸亀市の河口洋介さん(40)の学生時代の恩師は「おとなしく、寡黙な性格だった」と振り返り「まだ若いのに。非常に残念だ」と悲嘆した。
海上保安庁や国土交通省が25日に開いた家族向けの説明会では慌ただしく出入りする家族の姿が見られた。海保の担当者によると、家族らには捜索態勢やどのように範囲を広げているかを説明した。
説明会は1日に3度開催。別の関係者によると、25日午前には運航会社「知床遊覧船」の社長も参加したが、家族らにきちんとした説明ができず、改めて別に説明する場を設けることになった。
現場海域の捜索をした別の観光船の船長は「早く見つけてあげたいけど、手掛かりも何もなかった」と話す。「時間がたち、(船が)沈没しているのならなかなか見つけるのは難しい」と肩を落とした。〔共同〕