警察庁の中村長官が辞職へ、安倍元首相銃撃で引責
警察庁の中村格長官は25日、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を巡り、国家公安委員会に検証結果を報告した後で記者会見し、同委員会に「辞職を願い出た」と明らかにした。「新たな取り組みを開始するにあたり人心を一新し、新たな体制で警護に臨むべきだと考えた」と説明した。事件を防げなかった結果を受けた、事実上の引責辞任となる。
長官の任免権を持つ同委員会の決定を経て、近く閣議で承認される見通し。後任には露木康浩次長の昇格が有力とみられる。
警察庁は同日、警護に不備を生じさせたなどとして、奈良県警の鬼塚友章本部長を減給100分の10(3カ月)の懲戒処分にしたと発表した。同県警の警備部長も減給100分の10(1カ月)とした。
鬼塚本部長は同日、県警本部で記者会見し辞意を表明。「多くの方々にご不安、ご心配をおかけし、心よりおわびを申し上げる。重大かつ深刻な事態を招いたことに責任を痛感している」と述べた。県警は、鬼塚本部長が30日付で辞職すると発表した。
中村長官は25日の記者会見で、事件を防げなかったことを「極めて重く受け止めている」と発言。2023年に広島市で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)などを控え、「警察としてはこのような事態が二度と起こらないよう新たな体制のもとで、新たな警護要則に基づく措置を着実に実施していく」と語った。
中村氏は1986年、警察庁に入庁。刑事部門が長く、警視庁刑事部長などを歴任した。民主党政権時代を含む09年9月から15年3月まで官房長官秘書官を務め、当時の菅義偉氏らを支えた。21年9月に警察庁長官に就任。22年4月に「サイバー警察局」を発足させるなどした。
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2022年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅近くの路上で発生した安倍晋三元首相銃撃事件。亡くなった安倍元首相の国葬が9月27日に日本武道館で行われました。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目。最新ニュースや速報をまとめました。