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ケリー日産元役員に一部有罪 ゴーン元会長報酬隠し認定

(更新)

日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)の報酬過少記載事件で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(65)に対し、東京地裁は3日、懲役6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。起訴された2010~17年度のゴーン元会長の「報酬隠し」を認めたが、ケリー元役員は17年度以外は共謀がないとして大半を無罪とした。

判決後、ケリー元役員の弁護団は控訴する方針を明らかにした。

判決は、ゴーン元会長が検察と司法取引した元秘書室長と共謀し、10~17年度の日産の有価証券報告書に元会長の役員報酬を過少に記載したと認定。金商法の両罰規定に基づき起訴された法人としての日産に、求刑通り罰金2億円を言い渡した。世界的経営者が被告となった事件は、電撃逮捕から3年余を経て「主役」不在のまま司法判断が示された。

ケリー元役員については、10~16年度に関しては元会長の未払い報酬についての認識がなかったと判断。17年度に限って、元会長や元秘書室長と共謀し、虚偽記載したと認定した。

ケリー元役員は元会長らと共謀し、10~17年度の日産の有価証券報告書に元会長の役員報酬を計約91億円少なく記載したとして起訴された。公判では、開示を免れたとされる未払い報酬の存否や、元会長との共謀関係が主な争点となった。

下津健司裁判長は判決理由で、未払い報酬について「存在した」と認定。ゴーン元会長と元秘書室長は未払い報酬の開示義務についても認識しており、動機について「ゴーン元会長が高額の報酬の支払いを確保しつつ、自らの保身を図ろうとする個人の私利私欲に基づくもの」と指摘した。

日産についても「本件の要因はゴーン元会長による長期の独裁体制の元で醸成された日産の企業体質にあった」と批判。「日産のガバナンスの機能不全こそが、ゴーン元会長の身勝手な犯行を許したものといえ、まさに『身から出たさび』というほかない」と法人としての刑事責任も認定した。

一方で、元秘書室長らが公判でケリー元役員の関与を証言したことについて「司法取引の当事者で、検察の意向に沿うような供述をしてしまう危険性をはらんでいる」と指摘。元会長への未払い報酬の支払いを確認した「合意文書」の作成にケリー元役員が関与したなどとする証言について「裏付けとなる証拠が存在せず、信用できない」と判断。10~16年度についてケリー元役員の共謀を否定した。

17年度については、別の未払い報酬に関する文書を元秘書室長がケリー元役員に見せたことを裏付ける証拠が存在するなどとして共謀の成立を認めた。

20年9月に始まり、70回近くに及んだ公判で、元役員は「犯罪に関与していない」と無罪を主張。検察と司法取引した元側近や日産の元経営幹部らの証人尋問では、元会長に異論を唱えるのは難しかったとする証言が相次ぎ、日産の企業統治(ガバナンス)が機能不全に陥っていた実態も浮き彫りとなった。

ゴーン元会長は19年12月、プライベートジェット機で日本を不正出国。国籍を持つレバノンに逃れ、公判手続きは事実上凍結された。元役員と共に逮捕された18年11月以降、日本経済新聞のインタビューなどに対し、元会長だけが罪に問われた会社法違反(特別背任)事件を含めて一貫して無罪を主張している。

東京地検の森本宏次席検事は3日、「日産自動車については、当方の主張が認められたと考えている。ケリー元役員については、主張の一部が認められず遺憾だ。判決内容を十分検討し、上級庁とも協議の上、適切に対処したい」とコメントした。

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