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転落対策「子ども目線で」 窓開ける季節、専門家が警鐘

名古屋市中区で3月、マンション7階から2歳の双子男児が転落死した事故で、現場の部屋に押しつぶされた段ボール箱が置かれていたことが分かった。双子は箱を踏み台にして窓際の棚に登り、転落防止用の手すりを乗り越えて転落したとみられている。窓を開ける機会が増える季節を前に、専門家は「家の中ではどんな物でも事故の原因になり得る」と警鐘を鳴らす。

事故は1カ月前の3月24日午後に起きた。間部登也ちゃん、雄也ちゃん兄弟がマンション横の駐車場で倒れているのが見つかり、間もなく死亡が確認された。いずれも頭の骨が折れていた。捜査関係者によると、母親は別室で家事をし、父親は寝ていたとみられる。

両親は愛知県警に「やんちゃで常に遊んでいるような子たちだった。勝手に窓の鍵を開けることもあった」と説明。部屋には手すりのほか、窓の開閉を防ぐストッパーも設置されていたが、捜査関係者は「子どもの転落対策は十分ではなかった」と指摘する。

消費者庁の調査では、2015年7月〜20年6月に起きた14歳以下の転落事故30件のうち2割近くが家具や段ボールを踏み台にしていた。

東京都は17年、2〜6歳児を対象に高さ110センチの位置にある手すりを乗り越えられるかどうかを検証する実験を行った。建築基準法では、2階以上のベランダの手すりは高さが110センチが基準と定められている。

結果は、6歳児ではほぼ全ての子どもが4歳児でも7割近くが登ることができた。2歳児も、30センチ程度の踏み台を使えば手すりに手をかけて15秒程度で登りきれた。

同志社大赤ちゃん学研究センターの渡部基信副センター長は「乳幼児は一つのものに集中せず、次から次へと探索行動に出てしまうのが特徴だ」と指摘。親がおもちゃを与えても、気が付くと高いところに登っていたりすることがあると話す。

「2歳児は興味があるものに向かう衝動性が強い一方、危機察知能力は未熟だ」と語るのは、大阪教育大の小崎恭弘教授(保育学)だ。不幸な事故を防ぐには「子どもから目を離さないことはもちろん、子どもの目線に立った環境づくりも重要だ」と強調した。〔共同〕

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