女性患者わいせつ賠償命令 牧師と聖路加病院側敗訴

聖路加国際病院(東京・中央)で難病治療に伴う心のケアを受けていた女性患者が、わいせつな行為をされたとして、担当した元職員の男性牧師と、病院を運営する聖路加国際大に計約1160万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、同意のないわいせつ行為があったと認め、110万円の賠償を命じた。
判決によると、男性は患者や家族の精神的なケアをする聖職者「チャプレン」として勤務していた。桃崎剛裁判長は、女性が被害を訴えた行為の大部分を事実と判断。2017年5月8日と22日、男性が病院の一室で自身の下半身を触らせたり、女性の胸を触ったりしたと認めた。
男性は「黙示の同意があった」と主張したが、女性が直後に相談機関や弁護士に相談したことなどから、判決は「同意をしていたとは認められない」とした。病院側の使用者責任も認定。女性が元職員に一定の好意的言動をしていた事情もあったとし賠償額を算定した。
女性は判決後、東京都内で記者会見し「被害を虚偽だと言われ、加害者と被害者が逆転している状況だった。ようやくスタートラインに立てて感無量です」と話した。聖路加国際大は「判決内容を精査して対応したい」とコメントした。
男性は女性への強制わいせつ容疑で書類送検され18年12月、不起訴処分となった。〔共同〕