日向灘・南西諸島でM8級地震も 発生確率は「不明」

政府の地震調査委員会は25日、宮崎県沖の日向灘や南西諸島の周辺を震源とする大地震の発生確率をまとめた長期評価を2004年以来18年ぶりに改定し、公表した。初めてマグニチュード(M)8級の巨大地震も評価の対象にしたが、過去の記録が不足していることなどから発生確率は「不明」とした。
日向灘や南西諸島の周辺では、海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレートの下に潜り込んでいる。長期評価では、30年以内にプレート境界やプレート内でM7以上の地震が発生する確率を算出した。
過去に日向灘や南西諸島周辺でM8級の巨大地震があったと指摘する最新の研究があることなどから、今後M8級が発生する可能性はあると指摘。ただ、過去に同規模の地震が起きた回数が少ないことなどから、発生確率は「不明」とした。
M7級の発生確率は、沖縄県与那国島周辺で90%以上、日向灘で80%程度とした。鹿児島県南沖から南西諸島の北西側でもM7~7.5が60%程度の確率で発生する恐れがあるとした。
長期評価で津波の想定は示していないが、日向灘から南西諸島にかけては過去に大きな津波を引き起こした地震が起きている。
1771年の八重山地震(M7.4)では、高さ30メートルの津波によって1万人以上の死者・行方不明者が出たとされる。日向灘で1662年に起きた地震(M7.6)では、4~5メートルの津波が宮崎平野を襲い、複数の村が水没したという。
日向灘の想定震源域は、M8~9級が発生する可能性のある南海トラフと隣接している。南海トラフ地震との連動については「科学的知見の収集・整理が不十分」と明言を避けたが、委員長の平田直東京大教授は「日向灘から南海トラフに破壊が伝わる可能性はある」としている。
長崎沖から鳥取沖、海底活断層も評価
政府の地震調査委員会は25日、長崎県沖から鳥取県沖にいたる日本海南西部の海底にあるとみられる活断層の評価を初めて公表した。
37の活断層を評価対象とし、30年以内にマグニチュード(M)7級の地震が起きる確率を算出。長崎―福岡県沖の「西部」は1~3%、山口県沖から島根県西部沖の「中部」は3~6%、同県東部沖から鳥取県沖に至る「東部」は3~7%とした。
想定する最大の規模は東部の伯耆(ほうき)沖断層帯でM8.1、十六島鼻(うっぷるいばな)西方沖断層帯でM8、西部の第1五島堆断層帯ではM7.9程度とした。