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首都直下、震源別に4ケース 震度7可能性は計21区市町

東京都が25日に公表した首都直下地震の被害想定は、都心南部で発生するとした地震で最大6148人の死者が出ると推計した。想定した地震のうち4ケースで震度7の揺れが襲うのは21区市町に上る。過去の大地震の発生頻度から推定したマグニチュード(M)7級の首都直下地震の発生確率は今後30年間で約70%。いつ起きてもおかしくない状態が続いており災害への備えが必要だ。

東京都は2012年以来10年ぶりに首都直下地震の被害想定を見直した。23区の南部で発生する「都心南部直下地震」や多摩地域を震源とする「多摩東部直下地震」などの首都直下地震と、1923年の関東大震災と同型の地震など計8ケースを想定。このうち首都近郊で発生する4ケースについて、それぞれ発生時間帯と風速が異なる6通りで被害を推計した。

最も甚大な被害想定は「都心南部直下地震」だ。品川区と大田区の境界付近を震源とするM7.3の地震で、中央区や港区など11区の一部は震度7の揺れに襲われる。

冬の夕方に発生した場合の死者は6148人で、うち火災による死者は2482人とした。地震の揺れの影響で8万2199棟が全壊し、足立区や江戸川区、大田区などの木造家屋密集市街地を中心に11万8734棟が焼失する恐れがある(一部重複を含む)。

日野市と昭島市の境界付近を震源とする「多摩東部直下地震」(M7.3)でも大きな被害を見込む。世田谷区や日野市などの一部で震度7を観測。冬の早朝に発生すると死者数は5104人に上る。冬の夕方だと4986人が犠牲になる。

揺れや火災による全壊・焼失棟数は、冬・夕方の場合が最大で16万1516棟で、冬・早朝の場合は9万8361棟だ。

政府の地震調査委員会によると「都心南部」や「多摩東部」など首都直下のプレートが割れる大地震の発生確率は、今後30年間で70%程度という。首都近郊のどこで発生するかはわかっていないため、必ずしも今回想定を出した地域が震源となるわけではないが、いつどこで発生してもおかしくない状況だ。

発生確率が小さい地震でも被害想定を公表した。「大正関東地震」は、1923年の関東大震災と同じ神奈川県西部を震源とするM8級の地震。今後30年間の発生確率は0~6%とされるが、冬の早朝に発生した場合、都内だけで最大1971人が死亡し、3万8510棟が全壊・焼失する。冬の夕方だと1777人が死亡する見込み。

0.5~2%の発生確率とされる「立川断層帯地震」は、冬の夕方に発生する場合に最大で1490人が死亡するとした。全壊・焼失する建物の数は、国立市や立川市などを中心に5万1928棟に上る。ただ立川断層帯は、活断層の存在を否定する研究があるなど、専門家の間でも見解が分かれている。

「災害シナリオ」備え促す

東京都防災会議は、今回の首都直下地震の被害想定報告書の中に「災害シナリオ」を新たに盛り込んだ。災害発生後に考えられる事象を具体的に示すのは初めての試みで、被災した時に必要な対策を想像しやすい作りにした。

災害シナリオは「電力」「通信」「帰宅困難者」といった項目ごとに、時間の経過とともにどのように状況が変化するかを細かく書き込んだ。具体的には電気やガス、上下水道などのインフラが被災後1週間で部分的に復旧することや、避難所で直面する可能性があるトラブルなどを列挙した。

情報収集に欠かせないスマートフォンの電池は地震発生から1日後までに切れる可能性が高いと言及。メールやSNS(共有サイト)のメッセージの着信は平時より遅れる可能性があることを挙げた。災害時、家族や友人との連絡手段をどのように確保すべきかなど、一人ひとりの備えの強化を促す内容にした。

一般的に災害想定は人口分布や建築物の構造、地形などのデータを分析する。揺れの大きさや火災が発生する地域を細かい条件に分けてシミュレーションし、科学的な手法にのっとって結果を示す。

だが都が今回公表した災害シナリオはデータ分析に基づいていない。報告書をまとめた都防災会議地震部会長の平田直・東京大名誉教授は「データによる定量評価が難しい事象で、災害時に起こりうることをまとめた」と話す。

部会は地震や都市災害の研究者ら8人で構成している。普段はデータを基に研究を進める専門家集団だが、委員の中から「データのみを根拠にする想定では、被害の過小評価につながる恐れが高い」と危惧する声が上がったため、具体的な被害想定を時系列に示したシナリオ仕立てで公表することにしたという。

平田名誉教授は「自分の住環境で災害時にどんなことが起きるかを都民それぞれが確認し、それにあわせて備えてほしい」と呼びかけている。

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