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小さな長靴、10年経て発見 男児遺品、紀伊半島豪雨

「けいと」と書かれた長靴を手にする中平敦さん(21日、和歌山県那智勝浦町)=共同

和歌山、奈良、三重の3県で死者・行方不明者88人を出した2011年9月の紀伊半島豪雨で、土石流に巻き込まれた住宅跡地から今月、小さな青い長靴が見つかった。靴の中とかかとには、黒いペンで「けいと」の文字。小学2年で犠牲になった男の子のものだった。10年の時を経て形見を手にした遺族は、幼くして旅立った肉親に思いをはせる。

サイズが19センチの長靴は14日、和歌山県那智勝浦町で見つかった。持ち主は、40代の両親と中学生の姉2人とともに土石流に襲われた中平景都君(当時7)だった。

見つけたのは伯父で三重県御浜町の建設業、中平敦さん(62)。景都君の家があった場所から約15メートル離れた深さ5メートルほどの土の中に遺品は眠っていた。

泥を落とし、名前を目にした瞬間「景都、見つけたぞ」と大粒の涙が流れた。「これを履いて家族で避難しようとした直後に土石流に遭ったのかもしれない。見つかってうれしい気持ちと、苦しい気持ちで胸がいっぱいだった」

周辺は災害復旧工事が続いた影響で、長らく掘り起こしができなかった。しかし、災害から10年の節目を迎えるに当たり国土交通省と協議、命日の今月4日からようやく重機による本格的な作業を始められた。

東京で暮らしていたため、景都君の家族でただ1人難を逃れた会社員の兄、史都さん(33)に発見を真っ先に伝えた。敦さんは豪雨以降、史都さんのことがずっと気掛かりだった。「1人残され寂しい思いをしている。自分にできることはしてあげたかった」という。

2人で一緒に海に出掛けた思い出や、帰省を終え東京に戻ろうとすると泣いて悲しんだ幼い弟の姿が思い出されるという。

「家族がここで生きていたんだという証しを見つけたい」。敦さんは今後も範囲を広げ、掘り起こしを続ける。〔共同〕

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