社員自殺は労災、7歳娘と失踪 長時間労働でうつ認定
2017年に工作機械メーカー「ソディック」(横浜市)の社員、大泉共生さん(当時43)が自殺したのは、恒常的な長時間労働でうつ病を発症したのが原因として、松本労働基準監督署(長野県松本市)が労災認定していたことが22日、遺族側代理人弁護士への取材で分かった。大泉さんは亡くなる直前、長女、愛菜さん(当時7)を連れて失踪し、2人は遺体で見つかった。無理心中を図ったとみられる。
労災認定は20年1月31日付で、発症直前1カ月の時間外労働は123時間だった。同社は今年7月、解決金を支払うことで妻(48)ら遺族と和解したが、直接の謝罪には応じていない。妻は「この苦しみは死ぬまでと思っている。会社は直接謝罪してほしい」と話した。
同社は22日、ホームページに「社員がお亡くなりになったこと、労基署からの是正勧告を深く反省し、再発防止対策を検討・実施する」とのコメントを掲載した。
代理人の岩城穣弁護士らによると、大泉さんは12年から松本営業所(松本市)で機械のメンテナンスを担当したが、16年5月以降、担当業務の人員が2人から1人に減らされ業務が増加。同僚からの嫌がらせもあった。
17年4月21日、大泉さんは会議で上司から顧客先を架空訪問したと事実に反する疑いを掛けられ、追及を受けた。帰宅後、大泉さんは「今日は本当にひどかった。つるし上げだよ」と漏らした。
大泉さんは同26日、愛菜さんを連れて乗用車で出かけ、同5月7日、2人の遺体は山形県内の林道に止めた車内で見つかった。練炭を燃やした跡があった。
松本労基署は、17年4月上旬ごろにうつ病を患ったと認定した。上司に追及を受けた会議について「自殺の誘因の一つとなった可能性が高い」と、医師らでつくる専門部会の意見を付けた。〔共同〕