コロナ「生活に影響」4人に1人 年収少ないほど打撃実感

新型コロナウイルス感染症が生活水準に与えた影響を尋ねたところ、以前に比べて「低下した」と答えた人の割合が約4人に1人を占めることが、23日までの独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査で分かった。世帯年収が低い人ほどコロナ禍による経済的な打撃を感じている状況が示された。
調査は6月下旬、民間企業に勤務する人やフリーランスら20~64歳の計4881人を対象にインターネットで実施した。
生活水準が「低下した」と答えたのが24.5%だったのに対し「向上した」は4.4%だった。昨年の世帯年収別に見ると、300万円未満の場合、低下したとの回答が占める割合は35.1%。700万円以上では17.5%だった。
就業形態別では、「低下した」割合は正社員の21.4%と比べて非正社員が25.9%と、やや高い結果が出た。フリーランスは36.1%で、コロナ禍の影響は不安定な雇用形態の人ほど強く感じていることも示された。
既に生活水準が下がった人の中で、今後の暮らし向きが「悪化する」と答えた人の割合は13.8%だった。非正社員やフリーランスにこうした傾向が目立つ上、世帯年収が低いほど悪化の見通しを持つ人が多く見られた。
過去3カ月間(3~5月)の世帯全体の家計収支についても調査し、「赤字」と答えた割合は27.3%だった。ひとり親世帯は37.9%が赤字と回答し、黒字と答えた人の割合(23.0%)を大きく上回った。就業形態別で見ると、フリーランスの40.2%が赤字と回答、正社員(22.5%)に比べて家計の厳しさが浮き彫りになった。
コロナ下の不安に関する設問では、52.2%の人が「収入の減少に伴う生活への支障」に不安を抱えており、「今後1年くらいの間の失業・失職」についても37.0%が不安を感じると答えた。
昨年8月時点の調査で同様の質問をした時に比べて改善傾向は見られるものの、先行きの不透明感は解消しきれていない。
機構の中井雅之主席統括研究員は「賃金水準が高くない飲食サービス業など特定分野で影響が大きい。政府は生活に困っている人へ支援策を展開しているが、必要な人に届いているかどうかの検証も必要」と指摘している。

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