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無関係でも「人殺し」デマ拡散、顔写真や実名ネットに

北海道旭川市でいじめを受けた疑いがある中学2年の女子生徒が凍死した問題で、いじめと無関係の人たちがSNS(交流サイト)で「人殺し」などと加害者扱いされるケースが相次いだ。顔写真や実名をさらされた例も。インターネットで広がった膨大なデマの削除は困難。被害者は「デマは人の人生を変える。拡散する側も正しい情報か確かめて」と訴える。

「お宅の息子さん、殺人犯ですよ」。4月22日、旭川市で理容店を営む土崎真澄さん(51)の70代の母親が電話に出ると突然、女性の声でこう告げられた。同15日に週刊誌の電子版で女子生徒を巡る問題が報道されており、ネット上では加害者探しが始まっていた。

土崎さんがネットの掲示板を調べると、長男(21)と次男(19)がいじめの加害者と名指しされ、実名や顔写真がさらされていた。2人は女子生徒と面識がない。なのに投稿はエスカレートし「コイツらが殺したってうわさが立ってるよ」「車で拉致した」とまで書かれるようになった。

店には中傷の電話が相次ぎ、自宅前に深夜、不審な車が止まるように。次男が友人宅に遊びに行った際には、SNSでその友人宅までの経路が書かれた地図の画像とともに「すぐ行けるわ」というメッセージが届き、恐怖を感じたという。

動画投稿サイト「ユーチューブ」でも個人情報が拡散し、延べ30件以上の削除を申請したが、認められたのは4件のみ。土崎さんは特に悪質なユーチューバー2人を相手取り、損害賠償を求め裁判を起こす方針だ。「自分がしたことの責任を取ってほしい」と憤る。

市内で自動車販売会社を営む宮川匠さん(48)の高校2年の息子(17)もネットでいじめの主犯格とされ、顔写真をさらされた。息子は「女子生徒に会ったこともない。なぜ自分がという気持ちだった」と振り返る。宮川さんは中傷投稿に対処する社団法人に削除を頼んだが、あまりに数が多く「歯が立たなかった」と悔しさをにじませる。

ネット上の誹謗(ひぼう)中傷を巡っては、プロレスラーの木村花さん(当時22)がSNSで「死ねやくそが」などと投稿される被害に遭い死去したことを受け、対策を求める声が高まった。

4月には改正プロバイダー責任制限法が成立。匿名の投稿者を迅速に特定できるよう新たな裁判手続きが創設された。

さらに中傷やデマを減らす方法として、ネット問題に詳しい中沢佑一弁護士はプロバイダー(接続業者)に「少なくとも1年以上の記録保管を義務付ける法整備をすれば証拠が残りやすくなる」とした上で「デマを投稿すれば責任を問われるという認識が広まり、抑止につながるのでは」と指摘した。〔共同〕

▼旭川中2女子凍死問題 北海道旭川市の市立中学2年、広瀬爽彩(さあや)さん(14)が2月に失踪し、3月に市内の公園で凍死した状態で見つかった。市教育委員会はいじめ防止対策推進法の「重大事態」と認定し、第三者委が調査を始めた。8月、遺族の代理人弁護士が記者会見を開き「いじめをもみ消そうとしているようにさえ見える」と市教委や学校の対応を批判した母親の手記を公開した。〔共同〕

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