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離島航路、船員不足で存続苦心 事業者撤退も

離島住民の生活を支える航路の存続に、船員の高齢化や担い手不足が影を落としている。大分県津久見市では運航会社が撤退を表明し、後継探しが難航。他の地域でも事業者の経営は「ぎりぎりの状況」と厳しく、自治体は新規参入の促進などに知恵を絞っている。

「島民の役に立ちたいと長年続けてきたが、潮時だ」。豊後水道に面する津久見市。約15キロ沖合の保戸島と市街地を結ぶフェリー会社やま丸を経営する女性(72)は話す。約600人の島民にとって欠かせない移動手段だが、夫も高齢になり、来年9月末での撤退を市に申し出た。

島民の高瀬清彦さん(68)は「買い物や通院に使う住民は多い。便数を減らしてでも維持してほしい」と願う。市が事業主体となり、民間業者に運航を委託する方向で検討しているが、担当者は「担い手が見つかるかどうかが課題だ。猶予は無い」と話した。

離島航路の経営は苦しい。国土交通省によると、2019年度の事業者の欠損金額は合計で127億円に上った。赤字航路は国や自治体の補助を受ける。人口減少の加速で補助航路の輸送人員は過去20年で3割減少し18年度は800万人。新型コロナウイルス禍で一段の減少も避けられない。

船舶の補修に費用がかかり、若手船員の確保のために賃金を引き上げる余裕も乏しい。00年に約1万人いた国内旅客船の船員は20年に約7千人に減った。船の運用上、離島航路の船員は始発の島に居住することが望ましく「人材確保の障壁になっている」(国交省の担当者)という。

佐賀県唐津市の小川島を発着する川口汽船は別のフェリー会社を退職した70代の船員3人を臨時雇用したが「1人でも体調を崩せば回らなくなる」。九州の別の事業者も「数年後に定年退職する船員がいるのに後継者がいない」と嘆く。

自治体も存続に向け、事業者とともに試行錯誤している。伊吹島との市営航路を10月に民営化する香川県観音寺市は、旅客ではなく、大型船のえい航や貨物を運搬してきた海運業者に譲渡する。新潟県粟島浦村は、同県村上市と結ぶ航路を支援する目的で、ふるさと納税を活用し約1700万円を集めた。

離島交通に詳しい近畿大の新井圭太准教授は「地域内での努力には限界があり、必要な航路の選択と集中も検討せざるを得ない。自治体の枠を超えた事業者の広域合併や異業種からの参入も積極的に進めるべきだ」と指摘した。〔共同〕

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