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五輪の警備、風景様変わり 対テロの目は空やネットに

点描 1964→2021

(更新)
不審者の発見に向け、五輪競技会場の上空でバルーンカメラが監視している。(東京都江東区)

開会式やマラソンを一目見ようと押し寄せる群衆を、隙間なく横一列に並んだ警察官が規制の外へ押し戻す――。警視庁が前回1964年大会の活動を記録した約25分間の資料映像「聖火燃ゆるかげに」に、当時の「密」な警備態勢が残されている。

柵は約7600個、ロープは約19万メートル分など、準備した警備用資材は膨大。開会式当日、会場周辺に集まった観客は約8万人に達し、物々しい警備態勢が敷かれた。

開催2年前の62年、東京都の人口は初めて1000万人を超えた。終戦直後と比べると倍増し、都市の規模は急拡大。「自動車の所有台数も爆発的に増加し、交通量を予測し整理する取り組みも課題だった」(同庁幹部)

成長途上の首都で雑踏が増え、警察官たちは交通や群衆を制御しようと奮闘した。

警視庁が公開した1964年大会当時の映像=共同

あれから半世紀余りを経て、警備の風景は様変わりした。

一つは世界の注目を集めるスポーツイベントを狙ったテロの脅威だ。96年のアトランタ五輪では屋外コンサート会場で爆破事件が発生。2013年のボストンマラソンの際はゴール付近で爆発し、3人が死亡する惨事となった。

いかに不審者を早く発見するか。難題に対し、警視庁は高性能カメラを搭載した警備用バルーンなど新技術を駆使。今大会は競技会場が集中する臨海部エリアで、約100メートル上空から監視を続ける。不審なドローン(小型無人機)の侵入を防ぐジャミング(電波妨害)装置も取り入れた。

サイバー攻撃への備えも、デジタル化が進んだ社会の変化を端的に映す。

16年リオデジャネイロ大会や18年平昌冬季大会では運営妨害を狙った攻撃が多発。米国や英国はロシアのハッカー集団などの関与を指摘し、サイバー空間では国家レベルの攻防が激しさを増している。

開幕以降、標的型メールなどの攻撃は続いているが、運営に影響する被害は2日までに確認されていない。今回、開閉会式や競技のほか関係者の認証など関連システムは100以上に上るだけに、ターゲットになる可能性のある対象は幅広く、リスクが消えることはない。

「最も警戒していた」(警視庁幹部)7月23日の開会式は大過なく終わった。ただ、無観客にもかかわらず、国立競技場(東京・新宿)近くには雰囲気を感じようと多くの人が集まった。

警察幹部は「選手や競技場の警備、海外要人の警護に万全の態勢を敷くことに変わりはない」と強調する。24時間体制で情報収集を進めるサイバー空間だけではない。大半が無観客になったことで、当初計画から規模を縮小したとはいえ、競技会場がある9都道県では過去最大級の約6万人の警察官が、パラリンピック閉幕まで目を光らせる。

(萩野愛)

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