セルフレジ巡る特許でファストリ敗訴 知財高裁
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ファーストリテイリングが運営する「ユニクロ」のセルフレジを巡り、IT(情報技術)企業の「アスタリスク」(大阪市)が持つ商品識別関連特許の有効性が争われた訴訟で、知的財産高裁(森義之裁判長)は20日、特許は有効と判断し、ファストリ側の主張を退ける判決を言い渡した。
問題となったセルフレジは、くぼみに商品や買い物かごを置くと無線自動識別タグで商品情報を読み取って会計に移る。ユニクロの国内812店の8割に導入されている。
上向きのくぼみに商品を置いて商品情報を認識する仕組みが自社の特許権を侵害していると主張するアスタリスクに対し、ファストリ側は「容易に発明できる技術だ」と反論。アスタリスクの特許の無効を求める審判を申し立てた。
特許庁は2020年8月の審決で、ファストリ側の無効請求を部分的に認めつつ、特許の一部は有効だと判断した。双方が不服として知財高裁で争っていた。知財高裁はアスタリスクの特許を「容易に発明ができないもの」と判断し、ファストリ側の敗訴を言い渡した。
牧野和夫弁護士は「事実認定の争いは原則として最高裁で検討されないため、特許の有効性については事実上の終結だ」と指摘。今後、アスタリスク側はファストリ側にライセンス契約の交渉を持ちかけるとみられる。
アスタリスクはレジの利用差し止めなどを求める別の複数の訴訟も起こしている。知財に詳しい玉井克哉・東京大教授は「最終的な紛争の解決まで、時間がかかる可能性もある」とみる。
ファーストリテイリングは「主張が認められず大変残念に思う。判決内容を精査する」とコメントした。