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五輪談合、電通など6社7人起訴 東京地検特捜部

東京五輪・パラリンピックを巡る入札談合事件で東京地検特捜部は28日、大会組織委員会元次長の森泰夫容疑者(56)ら7人と、電通グループなど6社を独占禁止法違反(不当な取引制限)罪で起訴した。世界最大のスポーツの祭典を舞台に2022年7月から続いた捜査は終結する。汚職と談合事件を合わせ22人が起訴され、国際スポーツイベント運営のあり方が問われる事態を招いた。国内外からの信頼回復が急務だ。

広告業界を中心とした談合の摘発は初めて。各社の受注規模は総額約437億円に上り、組織委が支出した直接的な運営費1576億円の2割超を占める。特捜部は組織委幹部と電通担当者らが東京大会の入札で談合し、実質的な競争を阻害したと判断した。

企業間の価格競争がなくなったことにより、大会運営費が膨張した可能性がある。組織委元理事の高橋治之被告(78)が大会スポンサー選定に絡み賄賂を受領したとされる汚職事件とともに、真相解明の場は法廷に移る。

今後の焦点の一つは、談合への関与が疑われる企業に対する課徴金納付命令を巡る判断だ。独禁法には刑事処分とは別に、公正取引委員会が違反行為による売り上げの一部を納付させる制度がある。課徴金が多額になれば経営面のダメージになる。

官公庁では各企業を指名停止にする動きも広がる。起訴されたのは国際イベントの受注実績が豊富な企業が多い。25年の国際博覧会(大阪・関西万博)や26年の夏季アジア大会(愛知県)の運営への影響は避けられない。

政府などは事件の再発防止策として組織委理事の外部選考を柱とする指針をまとめたが強制力はない。国際大会の運営団体には透明性の確保策が求められる。

起訴状によると森元次長と6社の担当者らは2018年、テスト大会の入札で事前に受注業者を決めたとされる。関与したとされる広告大手のADKホールディングスは課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づき違反を申告し、公取委が刑事告発を見送った。

(札内僚、嶋崎雄太)

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