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「伊能小図」に新たな副本 現存2例目、重文級の発見

「伊能小図」を調査する日本地図学会の地図史料・地図アーカイブ部会の鈴木純子主査(右)と星埜由尚・学会前会長(2020年10月、北九州市のゼンリンミュージアム)=日本地図学会提供・共同

日本地図学会の専門部会は18日、江戸後期に伊能忠敬(1745~1818年)と測量隊が作製した手描きの「大日本沿海輿地全図」のうち、列島を3枚に収めた「小図」の副本(控え)が新たに見つかったと発表した。

新たに確認された「伊能小図」の富士山付近=ゼンリンミュージアム提供・共同

学会によると、幕府に提出した伊能図の正本は明治期に全て焼失。小図の副本全3枚の現存が確認されたのは、2002年の東京国立博物館所蔵図(国重要文化財)以来2例目という。保存状態も良好で色彩が美麗に残る重文級の発見。研究進展も期待される。伊能図は縮尺が違う大中小3種あり、小図は縮尺43万2千分の1。副本は測量隊の控えなどとして、正本と並行して作製された。今回の副本は北海道、東日本、西日本を横約1.6メートル、縦1.5~2.5メートルの用紙に描き「実測輿地図」と題されていた。虫食いや補修はあるが海岸線や測量線、1万3千余の地名が明瞭に読み取れる。福岡県内の個人が昨年、北九州市のゼンリンミュージアムに寄贈。戦後約10年の間に入手したらしいが詳細は不明という。

新たに確認された「伊能小図」3枚の画像を接合した日本全図=ゼンリンミュージアム提供・共同

学会地図史料・地図アーカイブ部会の鈴木純子主査と星埜由尚・学会前会長が調査。下図に用紙を重ねて測点を写し取るための針穴や独特の地図記号印の使用を確認、東博所蔵図と共通点も多く副本の一つと判断した。

鈴木主査は「測量隊のメンバーが直接作製したことを示す特徴を完備し、実物を見た際は息をのんだ」と評価。星埜前会長は「色彩や字体、記載内容から東博の小図と兄弟関係とみられる」と話す。

今年は伊能図完成から200年に当たり、同ミュージアムは、当時の細やかな手仕事を鑑賞できるよう高精細なレプリカを作製、6月5日からの開館1周年企画展に合わせて特別展示する予定。〔共同〕

伊能図利用の歴史解明に期待

伊能忠敬記念館(千葉県香取市)の紺野浩幸主幹の話 忠敬の弟子たちが大日本沿海輿地全図を完成させ、孫の忠誨が幕府に献上して200年という記念の年に発見されたことに驚いている。今回の小図は幕府の要人らの求めに応じ作製された可能性があり、伊能図利用の歴史解明のための貴重な資料となりそうだ。今後も別の機関から新たな地図が見つかる可能性があり、非常に興味深い。〔共同〕

▼伊能小図 伊能忠敬の死後3年の1821年に測量隊が完成させ幕府に提出した「大日本沿海輿地全図」3種のうち、縮尺が最も小さい日本地図。全214枚の大図、8枚の中図に対し、3枚の小図は全国を俯瞰(ふかん)しやすく汎用性も高い。幕末に幕府が提供した写本(複製、英国立公文書館所蔵)を見た英海軍はその正確さに驚き、日本近海の海図を修正した。樺太図を加えた4枚組みの「官板実測日本地図」が明治初年にかけ木版で刷られ、伊能図の初出版となった。〔共同〕

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