五輪パラの選手村公開 コロナ禍、「発熱外来」設置
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は20日、選手らが大会期間中に拠点とする選手村(東京・中央)を報道陣に公開した。居住棟は21棟あり、最大で1万8000人が宿泊できる。大型の食堂や選手らの交流施設のほか、新型コロナウイルスへの備えとして当初計画になかった発熱外来も設けた。

選手村は競技会場が集中する臨海部の晴海地区にあり、コーチや監督らを含む各国・地域の選手団が滞在する。居住棟は14~18階建ての新築マンションで、2~8人部屋の計3800戸を用意。室内のベッドはリサイクルできる段ボール製とした。

主に食事をとる「メインダイニングホール」は2階建て仮設施設で、五輪時には約3千席を準備。24時間営業で1日に最大4万5千食を提供する。各国の食習慣などに対応し、約700種類のメニューを用意する。バイキング形式だが、感染対策で料理はスタッフが取って選手らに渡す。座席はアクリル板で仕切る。

3階建ての「複合施設」は総合診療所やドーピング検査施設、トレーニングジム、おにぎりやお好み焼きなどを提供するカジュアルダイニングなどから成る。ジムは約600点の器具を備え、それぞれの間にパーテーションを設置した。

感染対策として別棟で「発熱外来」も設置した。コロナ感染が疑われる人の診療・検査を担う。感染が判明し軽症や無症状だった場合は隔離施設に、入院が必要なら都内の病院に搬送される。選手らは毎日検査し、居室などで検体を採取する。不正を防ぐため、組織委は抜き打ちで検体採取の様子を確認するという。

選手村への酒類の持ち込みは認める一方、共用スペースでの飲酒は禁じる。原則、居室など「プライベート空間でのみ飲酒を認める」(組織委)。
組織委の橋本聖子会長は「様々なホスピタリティーもしっかりしている。コロナ禍で日本の文化に触れられなかったりする選手にとって非常にくつろぐことができる空間になる」と説明。川淵三郎村長(元日本サッカー協会会長)はコロナ対策で選手らに制限が課されるなか「アットホームな選手村にすべく最善の努力をする。今後のパンデミックの際の開催で参考になるような情報収集も行っていければ」と話した。
このほか、選手らの憩いや交流の場となる「ビレッジプラザ」も公開。カフェや銀行、医務室などが配置され、柱や梁(はり)といった部材には北海道から九州までの全国63自治体で伐採されたヒノキなどの国産材が使われている。カフェではスマートフォンで軽食や飲み物を注文でき、生け花や茶道など日本文化の紹介コーナーも設けた。

選手村は五輪では7月13日に開村する。大会期間中は約8000人のスタッフが運営に従事。感染対策の一環で入村は出場競技の開始5日前からとし、競技終了後は2日以内に退村を求める。
選手村はパラリンピック終了後に改修され、賃貸・分譲住宅、商業施設などとして活用される。
