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旭岳に「美しい登山道を」 傷み深刻、女性監視員が整備

「植生豊かで色彩の美しい景観にふさわしい登山道を」。北海道最高峰の大雪山系旭岳で環境保全監視員の女性が仕事の傍ら、登山道の整備を続けている。全国的にも登山道は国や自治体の資金不足で傷みが深刻化。整備の人材不足もあり、安全性の維持が課題だ。旭岳で朽ちた木道を張り替え、石を埋めて階段を作るほか、費用捻出も担い「楽しく歩ける登山道」を目指す。

7月末、緑がまぶしい旭岳。気温25度超で厳しい日差しの中、1メートル以上の木材2本を背負子(しょいこ)で担いだ藤このみさん(37)が低草の茂る登山道を登っていた。「木道に使うもので、防腐剤を塗り重さは計約15キロ。麓から整備拠点までの1キロを何度も往復して運びます」

雪解け後の7月中旬から9月中旬まで週2日、運んだ木材や工具を使って登山道修復などを行う。木工所の勤務経験を生かし、チェーンソーや電動ドリルも使いこなす。

山梨県の山あいで育ち、国立公園では国内最大スケールの大雪山に憧れ、大学進学で移住した。2011年から旭岳で動植物を保全するNPO職員に。山をくまなく回って目に付いたのが、景観の美しさと対照的に荒廃の進む登山道だった。

「土がえぐれて木の根が露出し、木道のボルトはさびてむき出しになっていた。登山客から足を取られてけがをしたとの報告が絶えなかった」

環境省の現地事務所によると、藤さんが整備する天女ケ原登山道で行った最後の大規模な公共工事は1997年。管轄する道上川総合振興局の担当者は「維持や管理の予算は乏しく、荒廃のスピードに修復が追い付いていない」とこぼす。

担い手不足の実情を知った藤さんは2019年、業務外で登山道整備を始めた。当初の活動費は自ら手掛けたTシャツの販売や寄付で賄ったが、昨年からは国立公園などの活性化を目的とする補助金の支給対象になった。資金が確保できたことで地元の山岳ガイドや大学生が仲間に加わり、修復箇所を増やすなど活動の幅を広げている。

登山の法律問題に詳しい溝手康史弁護士は、登山道は法律で規定がないため管理者が不明なものも多く、全国的に整備は山小屋の経営者や愛好者に頼りがちと指摘。「中でも北海道は本州に比べて冬の閉山が長く、山小屋が少ないため、人材不足で安全の維持に苦労している」と話す。

「旭岳の登山道は約6キロで、整備できているのはまだ一部」と藤さん。「今後も安定的に予算を得て、安全に楽しんで歩ける登山道作りを進めたい」と意気込む。〔共同〕

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