大学運営の監視機能強化 私学法改正案を閣議決定
政府は17日、学校法人のガバナンス(組織統治)を強化する私立学校法改正案を閣議決定した。大学や短大を運営する法人の場合、合併・解散といった重要事項の議決権や理事の解任請求権を評議員会に認めるのが柱。理事らの背任行為や贈収賄には罰則を設ける。今国会で成立すれば、施行は2025年4月。
改正案によると、法人の監視・監督を担う評議員会は、理事会の諮問機関との位置付けは変わらない。理事会へのチェック機能を果たすため理事と評議員の兼任は禁止する。評議員会の議決が必要なのは法人の根幹に関わる事項とした。不祥事があっても理事が辞めない場合を想定し、評議員会に解任請求権を与える。
評議員に就くことができる理事の親族などに人数制限を当てはめる。この規定には施行後1〜2年の経過期間を設定する。
また、不祥事防止を明確化するため、理事らによる背任行為や目的外の投機取引、贈収賄、不正な認可取得への罰則を新設する。
私大のガバナンスを巡っては、日本大の元理事長らによる刑事事件などで法改正の必要性が高まった。文部科学省の有識者会議が21年、評議員会を法人の最高機関と位置付けるとの改革案をまとめたが、私学団体が猛反発。文科省は別の検討組織を立ち上げて議論をやり直す異例の対応で改正案の骨格を固めた。〔共同〕