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富山のスギで木製ダム 建築不向きな木材活用、景観調和

富山県木材研究所(射水市)が県産のスギを使った木製ダムを開発し、渓流の流れを和らげる治山ダムとして試験的に氷見市と魚津市に設置した。木材を有効活用し、二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の保全につながるほか、自然の景観に調和しているのも特徴だ。

治山ダムは、水の流れを和らげて川底や川岸の浸食を防ぐ目的で設置される。渓流の周りの土壌を安定させて樹木が育つのを助け、山崩れの危険を減らす役割がある。

開発したのは15センチ角、長さ2メートルの角材を井桁状に組み上げた高さ約3メートル以下の小規模なダム。決められた大きさに切り、穴を開けた角材を現場で組み立て、内部には石を敷き詰める。角材の中には鉄筋を通して強度を高めた。

節が多くたわみやすかったり、見た目が悪かったりして建築に向かない木材を使う。国内で戦後の短期間に植えられたスギが一斉に伐採の適期を迎えており、こうした木材の利用を促そうと考案した。同研究所は間伐材で雪崩防止のくいや海岸林を守る防風柵を開発してきたが、成長した木の活用法としてダムに目を付けた。

建物や土木工事に木材を使えば木が吸収した炭素を伐採後も空気中に出さずに長期間ためておくことができる。製造や加工時に消費するエネルギーもコンクリートや鋼材に比べて抑えられる。

1〜2週間と短期間で組み上げられ、建築用木材に必要な乾燥工程も必要ない。設置場所の周辺住民からは「山になじんで景観がよい」との声が寄せられている。

同研究所は設置する際の課題を精査し、今後、施工マニュアルを作成する。開発した柴和宏副主幹研究員は「CO2をたくさん吸収するのは若い木。山の環境を良くするため適切に伐採し、有効に使っていきたい」と話している。〔共同〕

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