新出生前診断、「基幹施設」169カ所 7月1日運用開始
妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断で、日本医学会の運営委員会は16日、全国の大学病院など計169カ所を実施の中核となる「基幹施設」に認定したと発表した。7月1日から運用を始める。
カウンセリング体制などの条件を満たした従来の認定施設に当たり、施設数は1.5倍以上に増えた。青森など7県で新たに認められ、全都道府県で認定の実施施設が整った。
出産の高齢化などで希望者が増える中、認定された実施体制を各地で充実させて無認定施設の利用を防ぐ。16日にオンラインで記者会見した運営委員会の岡明委員長は「認定の施設で検査を受けるメリットを分かりやすく周知し、検討する場合は認定の施設で受けるよう促していきたい」と話した。
新出生前診断はダウン症など3種類の染色体異常を調べる。陽性判定後、羊水検査を受け異常が確定した場合に多くが中絶を選択している。命の選別につながるとの指摘があり、カウンセリングや情報提供が重要となる。しかし無認定の民間クリニックが急増し、結果について十分な説明がないまま妊婦が混乱する事態が起きていた。
基幹施設は、2月に運営委員会が公表した指針でこれまでの認定施設に相当するものとして新設された。審査の結果、169カ所を選定。これまで認定施設のなかった青森、群馬、長野、三重、佐賀、大分、宮崎で1~3カ所認められるなど、68カ所が新たに選ばれた。
108カ所ある従来の認定施設からは101カ所が認められ、残る7カ所は基幹施設への申請をしなかったことなどで今回は外れた。
運営委員会は検体を分析する検査機関27社も認定した。今後は基幹施設の下に設ける「連携施設」を募集し、夏以降に決定する。連携施設では、新出生前診断前後のカウンセリングや陽性判定時の確定検査は基幹施設を利用できる。基幹、連携の両施設を合わせて認定の実施施設は数百カ所になる見込み。
運営委員会は既に新出生前診断に関するホームページを開設。自治体が妊婦に母子健康手帳を交付する際に保健師などによる説明も行い、希望者が認定の施設を利用しやすい環境づくりを進める。〔共同〕