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小型旅客船、浸水防ぐ構造義務化へ 知床観光船事故受け

斉藤鉄夫国土交通相は16日の閣議後の記者会見で、今年4月に起きた北海道・知床半島沖の観光船沈没事故を受け、小型旅客船で浸水を防ぐ「水密構造」の義務化に向け技術などを議論する有識者検討会を設置すると発表した。全国の小型旅客船事業者に対し、ハッチの密閉状況や避難港の確認など自主点検の実施も指示した。

運輸安全委員会は15日、事故原因についての経過報告書を公表。甲板にあったハッチが確実に閉じておらず、船の揺れで開いて海水が甲板下に流れ込んだ。隔壁の穴を通じて機関室まで浸水したことが直接的な原因だとした。

甲板下などに水が入らないよう遮断する水密構造であれば、沈没を回避できたとも指摘した。

現行の制度では、事故を起こした観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」のように、港などと2時間以内に往復できる限られた海域を運航する旅客船には水密構造が義務付けられていない。検討会は2023年1月から議論を始める見込み。同3月までに結論を出す。

斉藤国交相は「運輸安全委によるさらなる調査分析に協力し、結果をふまえ適切に対策を講じたい」と強調した。

小型船舶安全規則は、水が入り込まないようハッチなどの開口部を閉じる装置の設置を義務付けている。安全委の調査では、カズワンの船首付近にあった約50センチ四方のハッチは蓋が外れていた。「事故2日前には留め具で確実に固定できない状態だった」との証言もあったという。

甲板下には機関室や倉庫があり、それぞれ隔壁で区切られていたが、穴があったことも分かった。隔壁も含めて水密構造になっていれば沈没は避けられたとして、安全委は国交相に小型旅客船のハッチなどの点検と隔壁の水密化に関して検討するよう求めていた。

カズワンの沈没事故を巡っては、乗客・乗員20人が死亡、6人が行方不明となっている。国交省は6月、安全管理の不備が次々と明らかになった運航会社「知床遊覧船」の事業許可を取り消した。第1管区海上保安本部が同社社長や死亡した船長を業務上過失致死容疑で捜査している。

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