性犯罪規定見直し、法制審が答申 3月に法案提出へ
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法制審議会(法相の諮問機関)は17日、強制性交罪などの成立要件を見直す法改正の要綱を答申した。法解釈が曖昧という指摘があった現行規定を見直し、処罰対象となる具体的な行為や状況を明記した。法務省は3月にも通常国会に刑法などの改正案を提出する見通し。

現行規定は「被害者の抵抗が著しく困難」な場合に成立するとされ、裁判所の判断によって無罪判決が出ていた。被害者団体などから見直しを求める声が強まり、法制審は2021年から専門部会を設置。今月3日に要綱案をまとめた。
17日に答申された要綱では強制性交罪と準強制性交罪を統合した。「暴行・脅迫」「恐怖・驚愕(きょうがく)させる」「地位に基づく影響力の利用」など具体的な行為や状況を8項目示した。
これらによって被害者が「同意しない意思を形成・表明・全う」することのいずれかが困難な場合に罪が成立するとした。強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪にも適用される。
要綱では性交同意年齢を原則13歳から16歳に引き上げたほか、公訴時効を5年延長した。強制性交罪・準強制性交罪は現行の10年から5年延長し、被害者が18歳になるまでの期間を加算するとした。
盗撮行為を規制する「撮影罪」を新設し、撮った映像を他人に提供・拡散する行為も処罰する。わいせつ目的で16歳未満の若年者に繰り返し面会を要求する行為などを処罰する罪も新設する。法務省は3月ごろまでに新たな成立要件を規定した罪の名称なども決定する。