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東大前、受験生ら3人刺傷 無差別襲撃のリスク浮き彫り

(更新)

大学入学共通テストが始まった15日朝、試験会場の東京大前で受験生ら3人が刺された。警視庁は名古屋市の私立高2年の少年(17)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。少年は「事件を起こして死のうと思った」と供述しており、自暴自棄からの無差別襲撃や、周囲を巻き込む「拡大自殺」といった行動が社会に与えるリスクの大きさが改めて浮き彫りになった。

警視庁によると、凶器は包丁で、ほかに折り畳み式ののこぎりやナイフ、可燃性の液体入りの複数のペットボトルなども所持していた。可燃性液体は合計で3㍑に達する可能性があるといい、状況次第ではさらに甚大な被害が出ていた恐れもある。被害者と面識はなかったとみられる。

不遇感や孤立などを背景に、無差別に周囲を攻撃する事件は近年相次ぐ。「死刑になりたい」などの理由で大規模な殺傷事件を起こす例や、自分だけではなく他者を巻き添えにする「拡大自殺」では、不特定多数の人が行き交う公共空間「ソフトターゲット」が狙われることも少なくない。事前の予測や警備が難しく、被害も拡大しがちだ。

2021年12月に25人が犠牲になった大阪・北新地の雑居ビル放火殺人事件では、死亡した容疑者の男は妻と離婚し、勤務先も退職するなどして孤立を深めていたとみられている。同年10月に京王線の車両内で乗客17人が刃物で刺されるなどして重軽傷を負った事件の容疑者は「2人くらい殺して死刑になろうと思った」と供述した。

立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は無差別襲撃事件の背景に「社会に受け入れられていないという心理状況がある」と指摘。自分を追い詰めた社会への「反撃」として凶行に及ぶ例が目立つという。

小宮氏は「行政などの相談体制の拡充に加え、就労や職業訓練も含め一体的な支援で孤立させないことが重要だ」と話すとともに「多感で人格を形成する思春期に多様性を認め、画一的な価値観を押しつけないための取り組みも学校現場に求められる」としている。

末松信介文部科学相は15日、臨時の記者会見を開き、警察庁に試験会場周辺での安全対策の徹底を要請したと明らかにした。被害生徒が希望すれば追試などの対象に含める救済策を検討するとした。一方で、会場での手荷物検査は受験生への心理的負担などを理由に「実施は難しい」と述べた。

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