長野で土石流、3人死亡 長崎の用水路で2人死亡

停滞する前線の影響で15日も広範囲で大雨が続き、各地で土砂災害や河川の氾濫による被害が相次いだ。長野県では土石流に巻き込まれた3人が心肺停止の状態で見つかり、搬送先で死亡が確認された。記録的な大雨で地盤が緩んでいる地域があるとして、気象庁は引き続き厳重な警戒を呼び掛けている。
15日午前5時半ごろ、長野県岡谷市川岸東3丁目付近を巡回していた消防団員から「土砂が家の中に入り、2階に人が取り残されている」と119番があった。市によると、この住宅にいた8人のうち5人が病院に搬送され、3人が心肺停止となり、午後に死亡が確認された。他の2人は軽傷。県諏訪建設事務所は、土石流が発生したとみている。
市によると、死亡したのは、同県辰野町在住の巻渕友希さん(41)、次男で中学1年の春樹さん(12)、三男で小学2年の尚煌君(7)の母子3人。軽傷は10代と40代の男性。現場の住宅はJR川岸駅前の県道沿い。裏山から流れてきた土砂が2階を直撃したとみられ、付近では車の下半分が埋まった。住宅は親族名義で、滞在していた8人は家族や親族という。
市によると、住宅は土砂災害特別警戒区域内。発生の通報が午前5時半ごろ、避難指示は同6時で発生よりも遅かった。今井竜五市長は記者会見で「(指示の)タイミングは考えていかないといけない。今後検証したい」と話した。市内の別の場所では2006年に土石流が発生し、8人が死亡している。
静岡県熱海市で7月に発生した土石流で問題になった盛り土を巡り、今井市長は今回の事案で「(上方に)盛り土はないと思う」と述べた。
現場近くに住む60代男性によると、住宅は現在は空き家で、帰省の際に一時的に滞在していたとみられる。
気象庁によると、近くの同県辰野町で11日の雨の降り始めから15日午前9時現在の総雨量が387ミリに達した。市によると、近くの市支所でも13日午前5時から15日午前6時までの降水量が374ミリだった。

大雨特別警報が出ていた長崎県では14日午後7時40分ごろ、西海市西彼町上岳郷の用水路で女性2人がうつぶせで倒れていると119番があった。県警によると、2人は近くに住む無職の北村ヤエさん(73)と民生委員の田崎文子さん(70)で、その場で死亡が確認された。県警などが死因や大雨との関連を調べている。
県警西海署によると、田崎さんは14日午前11時すぎ、北村さんから連絡を受け、自宅に様子を見に行った。田崎さんが帰宅しないため心配した親族らが捜していたところ2人を見つけた。
用水路は幅約1メートル、深さ約1.3メートル。北村さんは用水路内で、田崎さんはそこから約30メートル離れた用水路脇に倒れていた。
同じく同警報が発表されていた福岡県では15日午前1時35分ごろ、添田町落合の住宅で「土砂が家に流れ込んできて身動きが取れなくなっている」と居住している70代女性から110番があった。女性は下半身が土砂に埋まったが問い掛けに応じるなど意識はあり、県警や消防が同日午後7時35分ごろ救出。下半身を負傷し、病院に搬送された。
県や田川署によると、住宅の裏山が崩れた。女性は下半身が土砂に埋まって自宅に閉じ込められた状態だった。夫と2人暮らしとみられ、夫は無事だった。

大雨は11日から続いており、これまでにも長崎県雲仙市で土砂崩れが発生。女性1人が死亡、女性の家族2人が行方不明となっている。熊本県人吉市では球磨川に流された男性1人の行方が分からなくなっており、捜索活動が続いている。〔共同〕