調布陥没、周辺地盤「緩みなし」東日本高速 指摘と相違
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東京都調布市の東京外郭環状道路(外環道)トンネル工事現場付近で起きた道路陥没事故で、東日本高速道路は14日、掘削部分の真上以外の周辺地盤についての調査結果をまとめ「トンネル工事に伴う振動で周辺地盤を弱めた事実は確認されなかった」と説明した。
東日本高速は掘削部分の真上の地盤に緩みがあるとして補修を予定している。住民の要望を受け、地盤工学の専門家が実施した調査で10月、真上だけでなく周辺の地盤も緩んでいるという指摘が出ており、同社が周辺地盤の状況を調べていた。
東日本高速は今回の調査で、トンネルの真上以外の周辺3カ所の掘削調査や採取した土の振動実験を実施した。その結果、地盤に空洞などの異常は確認できず、トンネル工事の影響がないエリアと比較しても地盤の強度に差がみられなかったという。
東日本高速は調査結果を受け、地盤の補修対象範囲は変更せず、範囲内の約30世帯に仮移転などを求めていく。これとは別に、家屋被害が確認された住民への補償手続きを進める。
陥没は2020年10月に発生し、縦約5メートル、横約3メートル、深さ約5メートルに及んだ。これまでに陥没地点付近で複数の空洞が発見された。東日本高速は21年2月、特殊な地盤下で掘削機(シールドマシン)に支障が生じ、土砂を取り込みすぎる施工ミスが原因とする調査結果をまとめた。
陥没を巡ってはこのほか、日本経済新聞が衛星解析技術を持つイタリアのTREアルタミラから入手したデータで、工事直後にトンネルの真上以外でも2~3センチメートル程度の沈下と隆起が起きたことが判明している。
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