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警察庁、国際捜査参加急ぐ サイバー犯罪対応出遅れ懸念

警察庁は2022年度にも、欧州の捜査当局にサイバー犯罪専門の連絡担当官を初めて派遣する。同年4月に「サイバー局」を発足させるのに伴い、サイバー犯罪の国際共同捜査に参加しやすい環境を整える。欧米などは協力してサイバー犯罪者の摘発を重ねており、遅れが目立っていた日本の国際連携を強化する。

サイバーセキュリティ政策に関する同庁の有識者会議が17日に提言をまとめ、欧州への担当官派遣などが盛り込まれた。

警察庁によると、これまで米国などにはサイバー犯罪の情報収集や連絡窓口を専門で担う職員を派遣してきたが、欧州は初めて。背景には、サイバー犯罪者や拠点の摘発で近年欧州が先行していることがある。

欧州刑事警察機構(ユーロポール)は11月、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「レビル」の運営者らを摘発したと公表。米IT(情報技術)企業カセヤや、鹿島の海外子会社への攻撃に関わったとされ、身代金は50万ユーロ(約6400万円)に上る。国際捜査には欧米や韓国など17カ国が参加。ルーマニア当局が容疑者の身柄を拘束したが、日本は捜査に参加していなかった。

6月にもオランダ警察を中心に9カ国が連携。ランサムウエアの攻撃者が悪用していたVPN(仮想私設網)ネットワークのサーバーを各国で押収、停止に追い込んだ。

サイバー犯罪の被害は世界の広範に及ぶケースが多い。各国はそれぞれ入手した捜査情報を共有して分析し、犯罪組織の実態解明や摘発につなげている。

日本ではサイバー犯罪も被害申告を受けて都道府県警察が捜査するため、情報の共有に限界があった。海外から捜査情報の照会を受けても、都道府県警の態勢では「対応に手間取ることも少なくなかった」(警察幹部)という。

警察庁は来年4月にサイバー局を新設。機密情報の漏洩など担当が分かれていた各部局の機能を集約し、捜査や啓発などサイバー空間に関わる業務の司令塔とする。独自の捜査部隊「サイバー隊」も4月に発足させ、重大事件の捜査を直接担う。

国際連携から取り残されれば、海外で暗躍してきた犯罪組織が日本を標的とする動きを強める可能性がある。

実際、新型コロナウイルスの感染拡大以降、欧米を中心に被害が相次いできた病院へのランサムウエア攻撃が、日本にも波及しつつある。10月末には徳島県つるぎ町の町立病院が被害に遭い、患者約8万5千人分の電子カルテが閲覧できなくなった。

サイバー対策企業S&J(東京・港)の三輪信雄社長は「攻撃者は常にセキュリティーの隙を探しており、対策が手薄な日本の病院や中小企業に被害が拡大している。国際的な捜査連携による抑止力は今後ますます重要になっていく」と話す。

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