安倍晋三元首相銃撃、山上容疑者を起訴 殺人罪などで

安倍晋三元首相銃撃事件で、奈良地検は山上徹也容疑者(42)を勾留期限の13日、殺人と銃刀法違反の罪で起訴した。事件当時の精神状態を調べる鑑定留置の結果を踏まえ、地検は刑事責任能力が問えると判断した。事件発生から半年余りがたち、捜査は区切りを迎えた。
山上被告は裁判員裁判で審理される見通しだ。捜査では、安倍氏の銃撃に至った経緯と詳しい動機の解明が焦点となっている。
捜査関係者などによると、山上被告の母親は1991年に宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に入信し、総額約1億円を寄付したとされる。被告は生活が困窮し「教団への恨みがあった」などと供述。安倍氏を狙った理由について「教団とつながっていると思った」と説明している。
関係者によると、山上被告は約5カ月半に及んだ鑑定留置で体調に問題はなく、差し入れられた本を読んだり、英語の勉強をしたりして過ごしたという。鑑定医の面談では旧統一教会に関する質問が多かったといい、周囲に「うんざりしている」と漏らしたこともあった。

起訴状によると、山上被告は2022年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の路上で、金属性弾丸を装填した手製銃を所持し、参院選の街頭演説中だった安倍氏に向かって発射し、殺害したとしている。
奈良県警は殺人容疑のほか、銃刀法違反(発射、加重所持)の疑いで今月6日付で追送検した。県警はインターネットで調べた情報をもとに容疑者が自作した銃を鑑定して殺傷能力を確認。銃刀法で規定する「拳銃等」にあたると判断した。
2022年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅近くの路上で発生した安倍晋三元首相銃撃事件。亡くなった安倍元首相の国葬が9月27日に日本武道館で行われました。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目。最新ニュースや速報をまとめました。