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大学でコロナ検査広がる 感染拡大下で対面授業後押し

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学生向けのPCR検査を行う北里大の相模原市のキャンパス内の施設=同大提供

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学生らを対象に検査を実施する大学が増えている。医療現場での実習や企業でのインターンシップ(就業体験)に臨む学生向けに加え、希望者全員を検査する動きも出てきた。感染収束が見通せないなか、学生が安心して対面授業に臨める環境づくりが急務になっている。

近畿大は4月下旬、東大阪キャンパス(大阪府)で、希望する学生や教職員が無料で抗原検査を受けられるようにした。学内の「メディカルサポートセンター」で検体を採取すれば、当日中に結果を知ることができる。

近大は大阪府の要請などを受け、授業を4月に原則オンラインに切り替えた。実験を伴う授業などは対面を続けており、積極的な検査で学内での感染拡大を防ぐ。「インターン先の企業で必要」「安心して帰省したい」など事情は様々で、5月中旬までに約1000人が受けた。

藤本美香センター長代理は「学生は感染しても無症状の場合が多く、知らぬ間に感染が広がってしまうリスクがある。早期発見は学生だけでなく大学周辺の地域住民の安心にもつながる」と説明。他県のキャンパスにも広げている。

医学部や教育学部など実習を伴う学生は、派遣先から陰性証明を求められるケースもある。こうした動きに対応する大学も増えている。

北里大は4月、相模原キャンパス(相模原市)に新たな設備を整え、医学部や看護学部などの学生約1000人に週2回、定期的なPCR検査を実施している。学生は自身で採取した唾液を提出して学内の研究者らが検査し、当日中に結果が分かる。

この検査で学生の陽性が判明したこともある。浅利靖副学長は「臨床実習で現場を知ることは不可欠。検査のおかげで学生と病院の双方が安心して実習を続けられる」と語る。

看護学部などを擁する岐阜医療科学大のほか、教育系の学部がある秀明大(千葉県)も、独自の施設で無料検査を実施する。鹿屋体育大(鹿児島県)は5月から、感染拡大地域での公式試合に参加した体育会系の学生らを対象に、民間会社の検査費用を補助する取り組みを始めた。

大学が学生への検査に力を入れる背景には、若年層も感染しやすい変異ウイルスの猛威がある。4月に学校や教育施設で発生したクラスター(感染者集団)は同24日時点で60件。クラスター全体の12.9%を占め、2月(26件)の6.7%からほぼ倍増した。

政府も5月から、感染拡大の兆しをつかむため無症状の陽性者を見つけ出すモニタリング検査を大学で実施することを決めた。従来は高齢者施設などが対象だった。

早稲田大はこれに協力する形で、月内をメドに東京都内や埼玉県内の4つのキャンパスで、学生と教職員が無料でPCR検査を受けられるようにする方針だ。東京医療保健大(東京都)も全学生対象のPCR検査を進める。

自治体による支援も始まった。東京都は4月、都立大の学生にPCR検査キットを配布。大阪府吹田市も同月、大阪大など市内5大学に通う学生への検査を始めた。

500以上の大学からなる日本私立大学団体連合会は6日、「学生が安心して対面授業に臨めるよう、キャンパスや学生寮に対して、さらなる公的支援をお願いしたい」として、文部科学省にPCR検査費用などの補助を要請した。

海外の大学は徹底した感染対策に取り組んでいる。英国は対面授業の強行で感染拡大を引き起こした昨年秋の教訓から、今年に入ってから大学での検査を大きく拡充して対面再開を促した。

米国では検査にとどまらず、学生にワクチン接種を義務付ける大学も出てきた。ハーバード大など有名私立大も相次いで導入を表明しており、9月の新学期に向けて学習環境の整備を急いでいる。

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