手製銃や猟銃、悪用防止へ規制強化 銃刀法改正検討
相次ぐ銃による凶悪犯罪を受け、警察庁は手製銃や猟銃の悪用防止を念頭に銃刀法の罰則や規制を強化する方針を固めた。インターネット上に銃の自作動画などを投稿する行為も、不法所持をあおる内容を伴えば刑事罰の対象とする。2024年の通常国会への同法改正案の提出を目指し、調整を進める。

新たな対策は安倍晋三元首相の銃撃事件や、5月に長野県中野市で4人が殺害された事件を踏まえた。大きな柱が元首相の事件で使用された手製銃への対応強化だ。
現行の銃刀法は、公共の場所などでの発射罪(無期または3年以上の懲役)を適用する場合、使用された銃が同法の規定する「拳銃等」に該当する必要がある。手製の銃は形状などによっては拳銃等に当たらない恐れがある。
実際、元首相銃撃事件で山上徹也被告(43)=殺人罪などで起訴=の自宅などから押収された手製銃7丁のうち1丁は拳銃等に該当しなかった。
改正案は手製銃などを念頭に発射罪の対象を拡大し、拳銃等に当たらない猟銃や装薬銃砲、空気銃といった銃砲を新たに加える。これらの銃について、人の殺傷などを目的に所持すれば拳銃等と同様に「1年以上10年以下の懲役」を科す方向で検討している。
悪質なネット投稿にも罰則を新たに設ける。
ネット上には銃の自作方法を解説する動画などが散在し、山上被告も銃や火薬を自作する際にネット情報を参考にしたとされる。
製造方法の提示のみで違法とするのは「表現行為の規制につながりかねずハードルが高い」(警察幹部)ため、併せて銃の自作を呼びかけるなど不法所持をあおったり、そそのかしたりした場合に適用する想定だ。
警察庁はサイバーパトロールを強化しており、2月中旬から民間団体を通じてサイト側に削除を依頼する情報の対象に爆発物や銃器の製造、拳銃などの譲渡に関する情報を加えた。11月末までに18件の削除を依頼。うち12件が実際に削除された。こうした取り組みも進める。
所持を許可されている猟銃の悪用対策も強める。警察庁によると、許可猟銃は22年に全国で15万728丁。長野の事件で4人に対する殺人罪などで起訴された男も「狩猟」などの用途で、計4丁の猟銃などの所持許可を受けていた。うち1丁のハーフライフルが犯行で使用されたが、いずれの用途でも2年以上使われていない時期があった。
本来の用途で長く使用されていない銃について、警察は事故防止などの観点から所有者に自主返納を指導してきたが、事件の教訓も踏まえ規制を強める。所持許可の取り消し要件となる未使用期間を「3年以上」から「2年以上」に縮める。
犯行に使われたハーフライフルに関しても、より厳しい許可基準が適用されるようライフル銃の定義を見直す。
立正大の小宮信夫教授(犯罪学)はネット上の銃の自作動画などに対応する法改正は「一定の抑止力につながる」としつつ「犯行の予兆把握や爆発物の原材料購入者の本人確認強化など、多層的なアプローチで対策を進めていくことが重要だ」と話している。









