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自宅療養の備え「慎重に」 未承認薬、使用にリスクも

新型コロナウイルス「第5波」で自宅療養者が増え続けるなか、医薬品や医療機器を個人で調達する動きが広がっている。ただ医師の診断なく未承認薬を個人輸入して使うことはリスクが伴うほか、個人が医療機器の購入に殺到し、医療関係の学会が購入自粛を呼びかけたケースもある。自宅療養の備えには慎重さも欠かせない。

「自宅療養になったら怖いので、治療薬として買った」「重症化を自ら防ぐために必要」。海外薬品の輸入を代行する業者のサイトには、抗寄生虫薬「イベルメクチン」を購入した客の口コミが並ぶ。ほとんどが新型コロナ治療や予防のために入手したという書き込みだ。

イベルメクチンはノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が開発に貢献した薬で、寄生虫が引き起こす感染症などの治療に使用される。細胞を用いた実験では新型コロナの増殖を抑える効果が確認されており、アフリカなどで治療薬として認めている国もある。

国内では北里研究所(東京・港)が新型コロナへの効果を調べる治験をしているが、現時点では新型コロナ治療の目的としては未承認だ。世界保健機関(WHO)は3月、「有効性を示す証拠が極めて不確実」と指摘した。

厚生労働省の山本史官房審議官は今月18日の衆院内閣委員会の閉会中審査で「様々な研究論文が発表されており評価が定まっているものでない。承認申請が行われた際は迅速に審査が行われる」とした。

ただ、自宅療養に備えようと個人で入手を図る動きが広がる。輸入代行業者を通じてインターネット上で容易に入手できることが背景にあるとみられる。

未承認薬の使用にはリスクもある。未承認薬の個人輸入は少量で自己使用目的であれば認められているが、副作用による健康被害はこれまで数多く確認されている。被害に遭っても医療費などを補償する医薬品副作用被害救済制度の対象外だ。

埼玉医科大総合医療センター(埼玉県川越市)の岡秀昭教授は「輸入薬剤は有効成分が入っていなかったり、添加剤が何か分からなかったりするものも多く、健康被害のリスクがある。自己判断で使用するのは避けるべきだ」と話す。

重症化の兆候をつかむため血中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターも、個人による購入が相次ぎ、これまで品薄となるケースがみられた。

日本呼吸器学会は2020年5月以降、個人での購入を控えるよう求めている。新型コロナ以外にも肺や心臓の疾患で必要とする患者は多いとして「真に必要な施設や患者に行き渡るよう配慮を」と呼びかけた。

厚労省は今月13日、業界団体を通じて医療機器メーカーに対し、自治体からの注文を優先して対応するよう通知した。パルスオキシメーターを確保して自宅療養者に貸し出す自治体は増えており、同省は品薄が深刻となった1月にも同様の呼びかけをしている。在庫は一時的に回復したが、8月に入り再び減り始めているという。

厚労省の担当者は「現在健康な人はすぐに医療機器などが必要になるわけでない。個人での購入には慎重さも欠かせない」と話している。

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