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経産省元キャリア2人、起訴内容認める 給付金詐欺公判

(更新)

経済産業省の元キャリア官僚2人が新型コロナウイルス対策の「家賃支援給付金」と「持続化給付金」計約1500万円を詐取したとされる事件で、詐欺罪に問われた同省元職員の桜井真被告(28)と新井雄太郎被告(28)の初公判が11日、東京地裁(浅香竜太裁判官)であった。罪状認否で桜井被告は「全て間違いない。様々な関係者を巻き込み、大変申し訳ない」と起訴内容を認めた。

新井被告も「間違いない」と認めた。

経営難に苦しむ事業者を救済するために設けられた自省の制度の悪用が問われた事件。検察側は冒頭陳述で虚偽申請の指示や報告、証拠隠滅など一連の行為が経産省内で行われていたと指摘した。

検察側冒頭陳述によると、2人は高校時代の同級生で、2019年に桜井被告の株式投資のため、ペーパーカンパニー2社を2人で設立した。20年5月にうち1社の顧問税理士法人から持続化給付金の案内を受けたことを機に、桜井被告が虚偽申請による詐取を考案したという。

桜井被告は経産省内で新井被告に対し、家賃支援給付金の虚偽申請や、申請に沿うように両社の資金移動を行うことを指示。申請業務は新井被告が担い、虚偽の総勘定元帳や契約書などを添付するなどしてネット上で申請し、省内で結果を桜井被告に報告したという。

今年6月には桜井被告が警視庁の捜査に気付き、2人で経産省の地下でスマートフォンを破壊するなどの証拠隠滅工作に及んだとも指摘した。

捜査関係者によると2人のうち1人は「(給付金は)国が金をばらまく制度。取れるものは取ろうと思った」などと供述したという。詐取したとされる資金は桜井被告が住むマンションの家賃や高級ブランド品の購入費などにあてられたという。

起訴状によると、2人はペーパーカンパニー「新桜商事」と「バートゾーデン」について、虚偽の内容を中小企業庁に申請し、20年6月に持続化給付金400万円、21年1月に家賃支援給付金約1149万円を2社の口座に振り込ませてだまし取ったとされる。

事件を受け、経産省は2人を7月の起訴時に懲戒免職としたほか、事務次官や幹部職員も訓告や戒告処分とした。全職員向けに服務規律の徹底を求める文書を出し、研修なども強化しているという。

もっとも、桜井被告らについて省内からは「普段の仕事ぶりや普段の様子に問題は無かったとの声が上がっていた」(同省秘書課)といい、未然防止には限界もある。同省は公判で判明した事実などを基に検証を行い、再発防止につなげる考えという。

不正受給、6億円超


新型コロナウイルスの拡大で打撃を受けた中小事業者向けの給付金制度は、悪用事例が後を絶たない。中小企業庁によると、不正受給の認定数は10月7日時点で持続化給付金が632件(約6億3千万円)、家賃支援給付金15件(約3200万円)に上る。
刑事事件に発展するケースもあり、組織的犯行も目立つ。警視庁が10月に詐欺容疑で逮捕した風俗店経営者らのグループはSNS(交流サイト)で勧誘したベトナム人留学生らに個人事業主を装わせて持続化給付金を申請、総額で約1億円を詐取したとみられている。留学生を中心に、約100人に不正な受給申請をさせていたという。
暴力団関係者が指南役で関わる例もみられ、「資金獲得の新たな手段として利用されている」(警察幹部)という。
明治大の岡部卓専任教授(社会保障)は、同様の事態を防ぐためには「第三者が関わる審査体制の構築が不可欠。不正には金銭的ペナルティーを科すことなどを強調し、抑止力を効かせる必要がある」と話している。

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