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建設石綿、17日に統一判断 最高裁、賠償責任明示へ

「建設アスベスト訴訟」の上告審弁論のため、最高裁に向かう原告ら(2020年10月、東京都千代田区)=共同

建設現場でアスベスト(石綿)を含んだ建材を扱って粉じんを吸い、重い肺の病気になった元労働者と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の集団訴訟の上告審判決が17日、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)で言い渡される。主な争点となる国やメーカーの責任について、二審の結論が分かれており、最高裁が初めて統一判断を示す見通しだ。

「建設アスベスト訴訟」は2008年以降、全国各地で起こされ、4件は横浜、東京、京都、大阪の各地裁の訴訟で原告は計約500人に上る。

原告側は、国が石綿の危険性を軽視し、防じんマスクの着用義務付けなどの規制を怠ったのは違法だと主張。メーカーも建材に警告表示をすべきだったとして、慰謝料の支払いを求めている。

争点の一つは、「一人親方」と呼ばれる個人事業主らに対する国の責任だ。国は会社勤めの「労働者」以外、健康や安全は自分で確保すべきで保護対象にならないと強調する。だが、幾重もの下請けで工事が進められる建設業界では、企業に雇われない作業員も多い。

弁護側によると、自ら作業に従事する中小企業の役員も含めれば、一人親方は業界全体の3割前後で推移してきた。4件中、二審判決が一人親方の請求を棄却したのは横浜訴訟など一部。原告は、下請けの末端として環境を改善する余地はなかったと訴える。

メーカーの責任を巡っては、職種ごとに扱う建材が異なるだけでなく、複数の現場でさまざまな製品に触れる機会がある。このため、メーカー側はどの製品が健康被害を引き起こしたか分からないと指摘し、因果関係の立証が課題となった。

4件のうち、京都、大阪訴訟の二審判決は、原告の主張を踏まえ、建材の市場占有率(シェア)に基づきメーカー責任を幅広く認めた。一方、東京訴訟はシェアの根拠となる国のデータベースの信用性を否定し、請求を棄却した。

最高裁は、どのような証拠があれば因果関係を認めるのか、一定の目安を示す見通しで、特にシェア資料をどう位置付けるのかに注目が集まる。〔共同〕

アスベスト(石綿)被害 石綿は極細繊維からなる天然鉱物。安価で断熱性や耐火性に優れ、建築材料に広く使われた。粉じんを吸い込むと肺がんの他、胸や腹の臓器を覆う胸膜や腹膜にある中皮細胞のがん「中皮腫」の原因になることが分かり、規制が進んだ。潜伏期間が数十年に及ぶ場合があり、発症すると多くは数年で死亡するため「静かな時限爆弾」と呼ばれる。2005年に兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場の従業員や周辺住民に健康被害が出ていたことが分かり、石綿健康被害救済法が施行されるきっかけとなった。〔共同〕

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