海自護衛艦が自力航行不能 山口沖、スクリュー損傷
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10日午後0時30分ごろ、山口県・周防大島沖の瀬戸内海で海上自衛隊の護衛艦「いなづま」から「船体にドンという大きな振動があった」と第6管区海上保安本部(広島)に無線で通報があった。海自によると、船体後方のスクリューが損傷して正常に動かなくなっており、自力で航行できない状態になっている。詳しい原因は調査中という。

海上保安庁などによると、いなづまは広島県尾道市のドックで修理を終え、エンジン関連の状況を確認する試運転中だった。午後0時10分ごろ、航行中に船体に大きな衝撃を確認。海底の岩に乗り上げたとみられる。
現場周辺の海面に30メートル四方程度の油膜がみられた。海自によると、いなづまが油の回収を進めている。海自の輸送艦など計5隻が現場に到着し、損傷状況を調査したうえで、えい航する準備を進めている。船内に浸水しているかどうかは確認中だが「船が沈むなど大きな被害ではない」(担当者)という。
海自によると、当時の天候は晴れで、波はほとんどなく、比較的穏やかな状況だった。担当者は「大きく航路を外れたわけではないが、太平洋などに比べたら浅瀬や岩礁が多い場所といえる」とした。
いなづまは排水量4550トン、全長151メートル。当時は乗組員やドック関係者ら計190人を乗せていた。けが人はいなかった。
海保によると、事故現場付近には浅瀬を示す標識が設置されているという。業務上過失往来危険の疑いもあるとみて、乗組員から事情を聴くなどして調べる方針。
現場は山口県周防大島町沖家室島から約2キロの南方沖。