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「灯台女子」安らぎ求め 文化財指定で人気拡大

船舶の航行目標である「灯台」が女性に人気だ。明治期に建った灯台が次々と重要文化財に指定されていることが背景にあるとみられ、SNS(交流サイト)上では「映える」写真が拡散。雄大さに安らぎを求め、足を運んでいるという灯台女子も。「会いに行く」、点灯を意味する「目覚める」などの独特な言い回しも定着しつつあるといい、専門家は「灯台巡りを新たな旅のテーマに」と提案する。

「建築史や地域の歴史、光を遠くに届けるためのレンズの仕組みなど、幅広いジャンルの知識を広げてくれる格好の媒体」。東京都内に住む学芸員の不動まゆうさんが灯台の魅力をこう解説する。

灯台にはまったのは今から20年ほど前。海上で光を放つ姿に優しさと安心感を覚え、以来、世界各地の灯台を訪れるように。情報誌の中で各地の灯台の歴史や構造を解説したり、付近の飲食店を紹介したりしている。

2009年からは各地の講演に登壇し、灯台の魅力を発信。灯台を維持、管理する「灯台守」がかつて暮らしていた官舎を観光に活用するプロジェクトも進行中だ。

灯台の魅力に気付いている人はまだ少なく、「ファンの裾野はまだ広くない」と不動さん。「観光や教育に活用し、文化的価値を高めて『地域の宝』と認識されるようにしたい」と力強く語る。

各地の灯台の歴史を研究する「燈光会」(東京)の三宅真二さんにとって灯台の最大の魅力は「150年前に造られたのに今も現役で活躍していること」。20年以降、明治期に造られたものを中心に文化財への指定が相次いだこともブームにつながっていると分析する。

SNSの浸透も人気を後押しする。青い海とサンゴ礁とのコントラストを楽しめる残波岬灯台(沖縄県読谷村)には、写真を撮りにわざわざ遠方から足を運ぶ女性が続出。インスタ映えする「きんこ芋」のパフェが売りのカフェが近くにある安乗埼灯台(三重県志摩市)も、若い女性を中心に人気を集めているという。

灯台の維持に必要な予算や人材が足りず、海上保安庁が21年から清掃や点検などの業務を民間に委託するようになったことも、各地の灯台の個性を引き出すきっかけの一つとなった。愛知県美浜町の野間埼灯台では、委託先の民間団体が内部を一般公開したり、灯台を活用したプロジェクションマッピングを開催したりし、好評を得ている。

海保の担当者は「灯台に多くの要素をかけ合わせ、新たな魅力を引き出してほしい」と話している。〔共同〕

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