アワビが「絶滅危惧種」に 20種、乱獲や海水温上昇で

【モントリオール=共同】国際自然保護連合(IUCN)は9日、世界の生き物の絶滅危険度を評価したレッドリストの最新版を公表した。高級食材のアワビは日本で採取される3種を含む20種が、3段階ある絶滅危惧種のいずれかに分類された。乱獲や密漁、気候変動が脅威になっている。日本の特別天然記念物オオサンショウウオは3番目のランクに加わった。
カナダ・モントリオールで開催中の国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の会場で発表した。ブルーノ・オベール事務局長は「人間の持続可能でない活動が、世界の海洋生物を大規模に死なせる最悪の事態を招いている」とする。
日本のアワビ3種はメガイアワビ、クロアワビ、マダカアワビ。いずれも絶滅危惧種の2番目のランクとされた。乱獲や海水温の上昇などによって数を減らした。採取などは別の枠組みで規制されるため、絶滅危惧種の指定で直ちに流通に影響が出るわけではない。
海外では、南アフリカで国際的な犯罪ネットワークによる密漁が、米カリフォルニアとメキシコ沖で、極端に海水温が上がる「海洋熱波」が悪影響を及ぼしている。
オオサンショウウオは河川改修などによる生息環境の悪化や、人が持ち込んだ外来種のチュウゴクオオサンショウウオとの交雑が問題になっている。
他に、東アフリカのジュゴンは混獲や船との衝突などが原因で最も深刻なランクに指定され、沖縄に生息するジュゴンと同じ危険度になった。南太平洋・ニューカレドニアの個体群は2番目のランクとなった。