鹿児島・悪石島で震度5強 住民4割超が島外避難へ
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9日午前11時5分ごろ、鹿児島県十島村の悪石島で震度5強の地震があった。気象庁によると、震源地はトカラ列島近海で、震源の深さは14キロ、地震の規模はマグニチュード(M)6.1。明らかな津波は観測されなかった。発生時に悪石島にいた住民63人と工事関係者12人の全員にけがはなかった。
十島村の肥後正司村長は9日、悪石島に住民票がある75人のうち10世帯33人が島外避難を希望していると明らかにした。鹿児島市と奄美大島への希望者の避難を進める。
悪石島で震度5強を観測したのは2000年10月以来。トカラ列島近海では地震が相次ぎ、4日以降250回を超えた。

村によると、震度5強の地震では売店や住宅で棚から物が落ちるなどし、森林を通る遊歩道の近くでは崖崩れが起きた。悪石島にいた全員が村立悪石島小中学校の校庭に避難した。建物への被害は確認されていない。
その後も震度3~1の地震が続き、気象庁は当面震度5強程度の揺れに注意するよう呼び掛けた。同庁は当初、地震の規模をM6.0、震源の深さを約20キロと発表したが修正した。

悪石島で民宿を経営する有川和則さん(69)は「海岸から宿へ車で戻る途中に揺れを感じた。とにかく長い揺れで焦った」と話した。
政府は官邸危機管理センターに官邸連絡室を設置。政府の地震調査委員会の平田直委員長(東京大名誉教授)は会合後の記者会見で「地震が起きやすい状態になっていると注意し、1カ月くらいは大きな揺れに備えてほしい」と呼び掛けた。
村長によると、避難は定期船を利用し、最も早い住民は11日午前に悪石島を出発する予定。村が宿泊先確保を進める。〔共同〕