スナックの魅力、若者にも 千曲市温泉街で身近さ発信

来年で開湯130年を迎える長野県千曲市の戸倉上山田温泉の歓楽街で、夜を彩る「スナック」の魅力をPRし、若者らに身近に感じてもらおうとする企画「NEOネオン」が始まった。取り組むのは一般社団法人信州千曲観光局。スナックの楽しみ方や昭和の雰囲気が色濃く残る街並みなどの情報発信を強化し、かつてのにぎわいを取り戻そうと意気込んでいる。
所狭しとひしめく輝く看板、どこからともなく聞こえる笑い声……。80店以上のスナックが軒を連ねる戸倉上山田温泉街。昭和の時代は企業の団体旅行客らで大繁盛したが、時代は移り客足は減少。観光局が地元の若者らにスナックの印象を尋ねたところ、「料金体系が分からない」や「楽しみ方が分からない」という声が寄せられた。
そこでNEOネオンでは20~30代を対象に、店ごとの営業時間や料金、雰囲気が分かるウェブサイトを公開し、初心者向けにガイド付きのスナック体験ツアーを準備する。企画に協力する店側は、若者が喫茶店感覚で立ち寄れるように昼営業を始めたり、季節の果物を使ったスイーツやノンアルコールドリンクを用意したりするという。
古い街並みを再評価する「昭和レトロ」の流行も企画を後押しする。約20店舗から始め、徐々に協力店を拡大していきたい考えだ。
信州千曲観光局の山崎哲也さんは「年齢などの違いを超えて仲良くなれるのがスナックの魅力。企画を通じて初めての店に入る手伝いができれば」と話す。
新型コロナウイルスのあおりで閉店を決めた店がある中、活動に参加するスナックの女性店主はかつての活況を「すれ違う人と肩がぶつかるほどだった」と懐かしみ、「若い人がどこにでも入れるような雰囲気になり、お店で楽しんでもらいたい」と期待していた。〔共同〕