/

捜査や公判のIT化へ、法務省検討会が報告書案

法務省は10日、刑事手続きへのIT活用を議論している検討会で最終報告書の案を示した。逮捕や家宅捜索に必要な令状や裁判資料などの書類の電子化に加え、捜査や公判でもデジタル化を進めるとした。諸外国と比べて遅れが目立つ刑事手続きのIT化で迅速化や効率化が期待されるが、セキュリティー面などに課題が残る。

法曹三者や警察、有識者による法務省の検討会で10日、同省が報告書案を示した。検討会は今年度内に最終報告書をまとめ、法相への提出を目指す。法相は来年度にも刑事訴訟法の改正に向け、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針。

報告書案は逮捕や家宅捜索に必要な令状をオンラインで請求、発付できるとした。起訴状や供述調書などの裁判資料も電子データとして作成、管理できることを明記し、現行の刑事訴訟法が供述調書などの書類に求めている「署名押印」は電子署名などで代替することを提案した。

証拠の電子化により、弁護人などがオンラインで閲覧、謄写できる利点もある。これまではすべて書面での閲覧、謄写で、コピー代の負担や手間がかかるとして弁護士から改善を求める声が上がっていた。

電子化の課題として、情報セキュリティーの確保を挙げた。捜査機関のシステムだけでなく、通信回線や弁護士のパソコンなどについても「漏洩のリスクを管理するために必要な技術的措置を講じること」とした。

報告書案は捜査や公判についてもIT化によって手続きの迅速化、効率化が図れるとした。例えば、現在は電子データを証拠収集する場合、データを写した記録媒体を押収する手続きが必要だが、新たに電子データをオンラインで提供させる強制処分を設ければ、捜査機関と事業者の双方にとって負担が軽減される。

検察官による弁解録取や裁判所による勾留質問では、容疑者が感染症に罹患(りかん)している場合などの一定の条件下で「ビデオリンク方式」が検討できるとした。公判前整理手続きに導入すれば、検察官や弁護人の裁判所までの移動の負担が減り、柔軟な期日指定が可能になる。

ただ、第三者の同席をどう防ぐかや、必要な設備を全国一律に導入することが難しいなどの課題は残る。ビデオリンク方式による容疑者との接見についても検討会で意見がまとまらず「さらなる協議が期待される」とする表現にとどめた。

司法手続きのIT化は民事で先行している。政府は原告がインターネットで訴状を提出できるようにするなどの民事訴訟法改正案を今国会に提出する方針で、2025年度の全面実施を目指している。

刑事手続きのIT化は、諸外国と比べても遅れが目立つ。米国やフランスでは既に令状の電子請求、発付ができるほか、証拠書類の電子データ化が実現している。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン