救急搬送で番号カード活用 認知症患者ら、実証実験へ
総務省消防庁は来年度、認知症や突然の意識不明などのため十分な意思疎通ができない患者を救急車で搬送する際、本人が携帯するマイナンバーカードを使って年齢や医療機関の受診歴などの情報を入手する実証実験に取り組む。
救急隊員と病院が患者の情報を共有し、搬送先を速やかに選んだり、適切な治療につなげたりするのが狙いだ。
来年度予算の概算要求に関連経費6千万円を盛り込んだ。実験を行う地域や時期は未定。実験により得られた課題を有識者らでつくる検討会で議論し、全国展開に向けた方策を探る。
現在、病院や薬局がマイナンバーカードを使って患者の薬の処方歴や健康診断結果などを確認できるシステムが一部で運用されている。今回の実証実験では、救急隊員が車内に設置した読み取り機に患者のカードをかざし、このシステムにアクセスすることを想定している。
認知症の高齢者や、事故、急病で意識不明になった人など、本人との意思疎通が難しい場合、症状の把握や治療法の選択が遅れるケースがあった。カードを通じて直近の受診歴や服用中の薬といった具体的な情報を入手できれば、より迅速な対応が期待できるという。
現場の救急隊員らに対し、カードの個人情報をどの範囲まで参照することを認めるかは、今後の検討課題となる。〔共同〕