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五輪無観客「残念」「理解」、チケット保有者ら思い交錯

(更新)
森下商店街に掲げられた東京五輪・パラリンピックの応援フラッグ(9日、東京都江東区)

「この目で選手を見たかった」「命と健康には代えがたい」。東京五輪は5都道県の競技会場で無観客開催が決まり、チケット保有者やボランティアら大会を待ち望んでいた人の間で様々な思いが交錯した。開幕が目前に迫るなかでの異例の判断。新型コロナウイルス対策に理解を示しながらも、「無観客とした根拠を明確に示して」との声も出ている。

チケット保有者

「うっすらと記憶にある感動を、目の前で味わいたかった」。23日の国立競技場での開会式のチケットを持つ名古屋市の男性(65)は肩を落とした。1964年東京五輪はテレビで見た。「日本が世界に肩を並べられたという高揚感を覚えている」という。

都の新型コロナの感染状況が悪化する中、望みを捨てず判断を待っていた。「感染状況を見れば無観客はやむを得ない」と語りつつ、「政治や商業的なしがらみにとらわれず、選手やスポーツの純粋な魅力を発信してほしい」と大会運営に注文をつけた。

横浜国際総合競技場(横浜市)でのサッカー男子決勝のチケットが当選していた千葉県市川市の男性(22)は「国際大会の決勝がみられるのは一生に1度のチャンスだと思っていたのに」と惜しむ。

4月に入社した企業では在宅勤務が続き、同僚の友人もできにくい。自国開催の祭典を「オンラインでもテレビでもなく、目の前で疾走する選手を見るのを本当に楽しみにしていた」という。「難しい判断だが、対応としては妥当と思う」と話した。

「無観客なら日本で五輪が開催される意義は薄れる」。東京都新宿区の主婦(57)は落胆した。夫と埼玉県の会場でゴルフを観戦する予定だったという。「多くの人はテレビで観戦する。『場所貸し』に近い形になってしまった」と嘆いた。

ボランティア

大会で観客の誘導にあたる予定だったボランティアは活動内容が大きく変わる可能性が高い。

自転車BMXなどが開かれる東京都江東区の会場で観客案内などにあたる役割だった東京都町田市の男性会社員(47)は「観客の笑顔を見たいという一心で参加した。大きなモチベーションを失った」と落ち込む。

大会組織委員会などが無観客と判断した根拠を明らかにしてほしいという。「観客を入れる場合と比べてどれほど感染リスクを抑えられるのか。データや科学的な説明を聞きたい」と述べた。

野球とソフトボール会場の横浜スタジアム(横浜市)で観客案内を行う予定だった都内の女性(51)は「晴れ舞台を心待ちにしていたが、正直ほっとした面もある」と胸をなで下ろす。「五輪が感染拡大の要因と言われる事態は避けたかった」と話す。

外国人の観客誘導を想定して2年ほど前から英会話教室へ通うなど準備を進めてきただけに「どんな役割でもいいから大会に関わりたい。再配置も考えてほしい」と求めた。

会場周辺の商店街

組織委の観客向けガイドラインでは新型コロナ対策として競技会場と自宅・宿泊先との「直行直帰」を呼びかけていたが、競技会場周辺の商店街ではにぎわいへの期待もあった。5都道県の無観客が決まりムードはしぼんでいる。

ボクシング会場の国技館から近い森下商店街(東京・江東)。振興組合理事長で和菓子店を経営する本間修さん(71)は、五輪の無観客と緊急事態宣言の酒類提供停止が決まり「期待は飛んでしまった」と話す。

東京五輪と夏休みが始まれば、飲食店を中心に客足が戻るとみる店が多かったという。「競技場へ行くことも昼から乾杯することもない。商店街に流れる人は増えないだろう」と肩を落とした。

老舗パン店店主の中田豊隆さん(66)は「新規感染者を増やさないためにも無観客とするのは仕方ない」と訴える。以前は休日には行列ができたが、客足は鈍り、売り上げは新型コロナ前と比べ2割ほど減った。

店の経営回復へは感染の収束が欠かせず「選手を思うとかわいそうだが、安心な社会が戻る方が優先だ」と話す。

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