首都圏地震、朝の交通網に混乱 「いつ駅に入れるのか」
7日夜に発生した千葉県北西部を震源とする地震は、都市部の交通網を直撃した。各地の駅ではタクシー待ちの行列ができ、帰宅を諦めて周辺で夜を明かした人も。8日朝も一部で運休や遅延が続き、通勤客らがあふれた。東京23区で震度5強以上を観測したのは東日本大震災以来10年ぶり。大きな揺れは再び首都圏のインフラの脆弱性を浮き彫りにした。

JR川口駅(埼玉県川口市)では8日朝、周辺のロータリーや歩道橋にまで人があふれかえった。JR東日本によると、京浜東北線などの遅れによりホームに人が滞留し、断続的に入場規制をしたという。
「こんな状況は経験したことがない。いつになったら駅に入れるのか」。午前9時半すぎ、東京都内のメーカーに勤める同市の20代の女性会社員は困惑した様子で語った。1時間以上、列に並んでいるが「50メートルくらいしか進んでいない」とこぼす。
自宅ではリアルタイムの運行情報が得られず、駅に着いて初めて入場規制を知った。「行列の後ろの方には駅員のアナウンスも聞こえない。もっと情報発信の仕方を考えてほしい」と苦言を呈した。

急停車の際に車両の脱輪がおきた日暮里・舎人ライナー。舎人公園駅(東京・足立)近くでは8日朝、傾いた車体がそのままの状態で残されていた。同駅の入り口にはシャッターが下ろされ、入り口前で引き返す通勤客らの姿もみられた。
足立区の20代の男性会社員は「出社時間には間に合いそうにない。どうしたらいいのか」とため息をつき、2キロほど離れた別の駅に足早に向かった。同駅から日暮里方面に向かうバス停には午前7時半ごろ、20人ほどが並んでいた。
千葉県松戸市の20代の男性会社員は、東京都千代田区内の会社で一晩を明かし、午前7時ごろ、ようやくの帰宅の途についた。「電車が止まっていて途方に暮れた。ひとまず家族の無事は確認できていたので、会社に戻ることにした」
男性は地震直後の7日午後11時ごろ、仕事を終えて東京メトロ千代田線に乗ったが、北千住駅(東京・足立)で足止めされた。再び会社に戻り、仮眠室で20人以上と一緒に過ごしたという。「タクシーで帰るにも遠すぎて難しかった。早く家でゆっくり休みたい」と疲れた様子だった。
一時停電が発生したJR品川駅(東京・港)。8日午前1時すぎ、タクシー乗り場では80人以上が列をつくっていた。
横浜市の勤務先からの帰宅途中の電車内で地震にあった東京都練馬区の30代の女性会社員は「やっとのことで駅に着いたら停電しているし、構内は満員電車のようだった」とため息。タクシーで帰ると決めたものの「1時間近く待たされた上、お金も1万円以上かかる。ふんだりけったり」と話した。
港区によると、同駅にとどまっている人が多かったことから、午前3時半ごろに周辺の公共施設を一時滞在用に開放し、7人を受け入れた。午前6時前には全員が帰宅したため、閉鎖した。
関連企業・業界